譲渡型保護猫カフェ しあわせにゃん家「今いる子たちの幸せを守りながら地道に保護活動を続けたい」|推し猫グランプリ2025特別インタビュー

福井県にある『譲渡型保護猫カフェ しあわせにゃん家』さんが、推し猫グランプリ3位を受賞されました!

保護猫カフェとシェルターを併設しており、2018年7月のオープンから550匹を超える譲渡を実現しています。

前回の取材から3年。移転によって施設は1.8倍の広さになり、新たに「返還受入型譲渡」や「お泊まり処」もスタート。着実に進化を続ける『しあわせにゃん家』さんの”今”を、オーナーママさんに伺いました。

前回受賞時のインタビュー記事

 

◎『譲渡型保護猫カフェ しあわせにゃん家』とは? 基本情報

▲画像引用:「しあわせにゃん家」公式ブログ

福井県福井市上野本町にある保護猫カフェ兼シェルター
・ホームページ:shianyan.com
・Instagram:https://www.instagram.com/shia_nyan
・Twitter:https://twitter.com/shiawase_nyan
・Facebook:https://www.facebook.com/shiawasenyanchi

 

◎『推し猫グランプリ2025』3位受賞!

Q.『推し猫グランプリ2025』3位受賞おめでとうございます! 受賞された時のお気持ちと、周囲の方の反応を教えていただけますでしょうか?

推し猫グランプリには毎年出させてもらっているのですが、TOP3には手が届かなかったんですよね。今回初めて第3位に入賞でき、長く応援いただいた常連さんや投票してくださった方は本当に喜んでくれました。

「頑張って投票したのに、1位になれなかったー!」と悔しがるお声もありました。(笑)

私たちも投票が始まる時は「よし、今年も頑張ろう!」と気合を入れますが、毎日が猫ちゃんのお世話でバタバタで……。結果が出るころには若干忘れかけてしまっているくらいです。(笑)

だからこそ、今回の素晴らしい結果は常連さんやフォロワーさんが頑張ってくださったおかげだと思っています。

応援してくださる皆さん、本当にいつもありがとうございます!

 

◎移転や制度の新設など猫ちゃんファーストで進化を続ける『しあわせにゃん家』

Q.ホームページに2024年から『返還受入型譲渡』の制度を導入したと記載がありました。制度について詳しく教えていただけますか?

『返還受入型譲渡』は、高齢などを理由に里親になれない方にも譲渡できる制度です。

飼い主さんが病気や施設入所など万が一の理由で、猫ちゃんを飼えなくなった場合に、猫ちゃんをこちらで引き取ることをお約束しています。私たちの施設では、移転後の2024年から本格的にスタートしました。

今まで、「この方なら安心してお任せできる」と思った方でも高齢というだけでお渡しできないケースが多くて。でも、60代後半でも元気な方はたくさんいらっしゃいますし、逆に若くても事故や病気で命を落とす可能性はゼロじゃない。本当は年齢だけで「この人は大丈夫、この人は無理」って線引きできるものじゃないんですよね。

『返還受入型譲渡』を取り入れたおかげで、年齢に関係なく、ずっと猫ちゃんを飼ってきたというステキなご夫婦や、本当に猫ちゃんを大事にしてくれる方が里親さんになってくださるようになりました。

そういった方へ譲渡した後は、毎日のように報告が届くんですよ。猫ちゃんの写真が20枚とか送られてきたりして。(笑) 猫ちゃんが幸せそうで、こちらも幸せな気持ちになります。

長い間迷った末に作った制度でしたが、素敵な里親さんばかりです。始めて良かったと思っています。

Q.前回の取材(2022年12月)では「カフェの中にエイズキャリアの子のためのお部屋を作りたい」とおっしゃっていましたが、実現されましたか?

はい、おかげさまで実現することができました。

2年前に移転して、お店の広さが1.8倍になったんです。カフェの中にエイズキャリア専用・子猫ちゃん専用・予備室の3つのお部屋と、2階に大きなシェルターを作りました。

移転を決めたのは、人馴れしない子や病気のある子にも、里親さんと出会えるチャンスを増やしたかったからです。

以前は、人馴れしない子や病気のある子は隔離されたシェルターで過ごすため、お客様と触れ合える機会が少なく、なかなかご縁を繋げられなくて。そんな子たちにも、優しい里親さんと出会ってほしい。たとえ譲渡が叶わなくても、最期の日までおだやかにのんびり暮らしてほしい。その想いを叶えるために、移転を決断しました。

特に、エイズキャリアの子たちは譲渡までに時間がかかることが多いので、「ここで過ごす時間を少しでも快適にしてあげたい。そのためにどうするべきか」ずっと頭を悩ませていました。

人間が大好きな子も多いので、より多くの猫ちゃんたちがお客様と触れ合っていただけるようにカフェの中にお部屋を作ったんです。念願だったお庭付きの専用部屋を作れて、本当に良かったです。

また、新しいお部屋を作ったことで、猫ちゃん達が少しずつ人や環境に慣れてからカフェに出られるようになったことも大きなメリットでした。

以前は、保護した子たちはシェルターからすぐにカフェに出ることになっていたので、環境の変化がストレスで体調を崩してしまうケースが多かったんです。部屋を増設したことで、段階的にカフェに慣れる期間を作ることができるようになりました。猫ちゃん達の負担が減って、カフェデビューが原因で体調を崩す子がほとんどいなくなったんです。

さらに病気の子の管理もしやすくなりましたし、スタッフの作業面でも無駄な動線が減って、かなりラクになりました。

移転して2年経ちましたが、とことん猫ちゃんと向き合うにはベストな環境になっていると思います。 

そして移転後、旧シェルターは「お泊まり処」という宿泊施設にすることもできました。

Q.「お泊まり処」とはどのような施設なのでしょうか?

「お泊まり処」とは、猫ちゃんはもちろんペットと一緒にお泊まりができる一棟貸切のプライベート施設です。2025年4月から運営を開始しました。

(「お泊まり処」詳細:http://shianyan.com/free/otomari )

おかげさまで、お泊まり処の売上も保護活動の資金になっています。

正直、旧シェルターを売却するかどうかすごく迷いました。でも、「寄付に頼らず自分たちの力で運営を続けられる仕組みを作りたい」とずっとそう考えていて、お泊まり処はその挑戦の一つです。

お金持ちになりたいわけじゃない、山ほどお金を集めたいわけでもないんです。

寄付はできる範囲でしていただければいい。寄付してくださった方が「私はこれで猫ちゃんを助けている」と思っていただければ、それで十分なんです。

寄付なしで運営できるのが理想。常にそれを考えながら、今できることをやっています。

 

◎保護活動に長く関わる中で感じる変化と今後の目標

Q.しあわせにゃん家の活動を始めて8年、時代の流れに伴って、世の中の保護の価値観が変わっていると感じることはありますか?

保護活動施設や団体が増えたのはもちろんですが、一般の方から「困ってる猫を助けてあげたい」「猫を保護したいけどどうしたらいいですか?」などの相談が増えました。以前は、ほとんどが「保護してください」というご相談でした。「保護猫ちゃんをお迎えしたい」という方も増えましたよね。

数年前と比べて、保護活動についての知識や理解が浸透し、一般の方それぞれの「猫ちゃんのために力になりたい」という意識が高まったように感じます。

そのためか、以前は保護猫活動への偏見から厳しい言葉を浴びせられることもありましたが、それが各段に減りましたね。

Q.そんな長い活動を続けてきた『しあわせにゃん家』様の、これからの目標やビジョンを教えていただきたいです。

私たちはこれからも初心を忘れずに、今いる一匹一匹の子に「しあわせにゃん家にいる間、幸せだと思って生きてほしい」という理念を大切に活動していきたいです。

たとえ里親さんが決まらなかったとしても「この子は幸せ」と胸を張って言えるようになりたい。夢というより責任ですね。

昔は、がむしゃらにかわいそうな子がいたら保護することを繰り返していました。救いたい一心で次々と保護した結果、保護した猫ちゃん同士がケンカをしたり、おしっこをして回るようになってしまったり、ストレスまみれになっていたんです。

「自分の思いだけでたくさんの子を受け入れることが、本当に猫ちゃん達のためになるのか?」と悩みました。

私は自分自身で責任を持って猫ちゃんを守りたいという思いが強くて、他の人には任せられないと思っていました。20匹ほど保護していた当初は、里親さんに繋いだ時、我が子を送りだすかのように毎回泣いていたくらいです。(笑)

80〜90匹に増やした時、自分だけで全て把握するのが難しくなり、これで本当に良いのかとさらに思い悩みました。

そして自己嫌悪に陥りながら、お客様やフォロワーさんのお声も借りながら、日々試行錯誤を重ねて、今のスタイルに落ち着きました。

今抱えている猫ちゃんたちに精一杯の愛情を注ぎ、卒業によりスペースが空いたら次を受け入れる、というスタンスを徹底しています。

大きなことができなくてもいいんです。これからも地道に、保護して確実に里親さんに繋いで、ご縁があった猫ちゃん達を幸せにしていきたいです。

 

◎『譲渡型保護猫カフェ しあわせにゃん家』さんからメッセージ

Q.読者・視聴者・ファンの方々へ、メッセージをお願いします。

「ありがとうございます!」それに尽きます。

もちろん猫ちゃん達が好きで活動を頑張っているのですが、実は本当に落ち込んでふさぎ込んでしまいたくなる時もあるんです。体力的にしんどい時や、猫ちゃんを看取った時、心無い批判を受けた後など、正直かなりしんどいです。

でも、フォロワーさんも含めたくさんの方々から「応援してるよ」と言っていただける一言が、本当に励みになるんです。お顔は見えないですが、お一人お一人が私の原動力になっています。

ハートをちょん(いいね)って推してくれるだけで、疲れが吹き飛ぶし、今日も頑張れます!

皆様には“感謝”しかないです。

Q.第7回『推し猫グランプリ2026』もご参加いただけますか?

ぜひぜひ、参加させていただきたいです!

 

◎『譲渡型保護猫カフェ しあわせにゃん家』さんインタビューまとめ

▲幸せそうな表情を浮かべるオーナーママさんと猫ちゃん

明るくチャーミングな笑顔で、時に真剣な表情で保護活動や猫ちゃんに対する思いを語ってくださったオーナーママさん。

周りに元気を与えてくれるようなお人柄の裏には、前回と変わらず、猫ちゃん達と全力で向き合う責任感と、お客様やスタッフ、ご家族への深い感謝がありました。

「お金持ちになりたいわけじゃない。寄付なしで運営できる仕組みを作りたい」「猫ちゃんが幸せだと胸を張って言えるようになりたい」

──そんな謙虚で真摯な想いが、多くの人に愛され、支えられる理由なのだと感じました。

大きなことはできなくても、地道に、確実に。試行錯誤を重ねながらも、一匹一匹の幸せを諦めない。そのひたむきな姿勢に、取材をさせていただいた私たちが何度も胸を打たれました。

これからもオーナーママさんの元からたくさんの幸せが生まれていくことを、心から願っています。

取材:大久保ユカコ
文:大久保ユカコ・松永麻未

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