保護猫カフェ ねこの木「地に足をつけてひたすら愛情を注ぐのみ」|推し猫グランプリ2022特別インタビュー

推し猫グランプリ2022で入賞された『保護猫カフェねこの木』さん。大阪市の商店街の中にある1棟を利用して保護猫カフェとシェルターを運営されています。

常時60頭前後のねこちゃんを抱え、直接現場にも出向くほどの活動家である代表の長谷川さん。

その活動の原動力と、保護活動に対する思いをお伺いさせていただきました!

◎『猫カフェねこの木』とは? 基本情報

・大阪市淀川区十三にある保護猫カフェ兼シェルター
・オーナー:長谷川 大さん
・ホームページ:https://nekono-ki.com/
・Instagram:https://www.instagram.com/nekono_ki/ 
・Twitter:https://twitter.com/nekono_ki
・Facebook:ねこの木

◎『推し猫グランプリ2022』入賞!

Q.『推し猫グランプリ2022』入賞おめでとうございます! 受賞を知った時のお気持ちや周囲の方の反応はいかがでしたか?

皆さんが投票してくださった結果ですので、投票してくれた方々に感謝しかないです。

SNSを見てくださったお客様からは「昨年に続いてよかったねー」と言っていただけて、嬉しかったです。

◎『保護猫カフェねこの木』として保護猫活動を始めたきっかけ・理念や活動への想い

Q.保護猫カフェ・保護猫活動を始めたきっかけや経緯を教えてください。

もともとこの地区(大阪市淀川区十三)でTNRなど保護活動をしておりました。子猫を一緒に保護することもあり、里親探しもしていました。その中で、里親を見つけるためのお店があれば、と思ったのがきっかけです。

Q.活動の理念はどんなことですか?

理念とかそんな大それたものではないですけど……。

一般的に「保護猫=野良猫ちゃん」というイメージが大きいと思うのですが、僕の概念の中では「保護猫=行き場のない子」なんです。

たとえば多頭飼育崩壊の子、繁殖リタイアの子、飼い主さんが亡くなった子など、行き場のない子が保護猫です。

種類がなんであろうと、可愛そうな子は助けてあげようと、できる限りは受け入れてあげようという感覚で活動しています。それがお客様に伝わって、理解してもらえて今があるのかなと思いますね。

僕としては猫ちゃんを救っているというよりは、「橋渡し」をしているだけだと思っています。場所を提供して、お客様のお宅にお届けする。それまでのお世話をしているだけのことなんです。

Q.活動の中で現場に行かれることもあるそうですが、どのように感じられますか?

多頭飼育崩壊にしても繁殖の崩壊にしても、最初は「好き」から始まってると思うんですよね。それがいつしか、お金なのか環境なのか、少しずつズレてしまっただけなんですよね。

だから、飼い始めたときの気持ちを思い出してもらいたいですね。そして命を大事にしてほしいなと、ただそう思います。

◎猫カフェねこの木の現状とコロナ禍での運営

Q.施設内には何匹くらいの保護猫さんがいて、何名くらいのスタッフさんで運営されているのでしょうか?

お客様と触れ合うことができる猫ちゃんは30頭くらいで、3階と4階のシェルターにいる子を合わせると60頭くらいですね。

今はアルバイト含めて5名でその子たちのお世話をやりくりしています。譲渡数としては、昨年が150頭くらいでした。

大変ですけどね、みんな本当によくやってくれています。

Q.150もの「橋渡し」を実現されているのですね!コロナによる影響などはあったのでしょうか?

お客様の数は半分以上減ってしまって、影響は大きいですね……。

とはいえ、最近は動物愛護法の改正により繁殖場の閉鎖も多く、多頭飼育崩壊の数も増えています。今うちが規模を縮小するわけにはいかないんです。スタッフも含めて、踏ん張るしかないですね。

Q.SNSでの発信もこまめに行われていますが、発信において意識されていることはありますか?

そうですね、猫ちゃんの状況をできる限り正確に伝えたいなと思っています。良い状態であろうと悪い状態であろうと、そのままを伝えるようにしています。

そして、それ以外のことはしゃべらないように気を付けています。笑

もちろん気持ちとして書くことはありますけど、高圧的にならないように、見る方が嫌な気分にならないように常に気を付けています。いろんな方が見ますのでね。

うまくいかず、お叱りを受けることもチョコチョコありますけど。笑

いただいた意見は僕ができていないことなので、素直に受け止めるようにしています。

◎今後のビジョン:保護活動には協力が不可欠

Q.今後の目標や活動ビジョンを教えてください。

ワンちゃんと違ってねこちゃんの保護活動って、団体さんやボランティアさんの横のリレーションがすごく少ないんです。なので、他の店舗さんともっと協力できればと思っています。

例えばある店舗で里親詐欺があったときに、その情報を共有できれば、悲しい思いをする猫ちゃんが減ります。また啓発活動も活発になります。

うちはいま協力店が4店舗ほどあり、助け合ったり情報交換したりと、連携を取ってやってきています。が、他にもたくさん猫カフェの店舗はありますよね。

もっともっと協力し合えるようになればいいなぁと思っています。

あとは、僕としては今まで通り地に足をつけて、猫に愛情を注ぐことしか考えていません。それだけですね。

◎『猫カフェねこの木』さんからメッセージ

Q.保護猫活動家の方や読者の皆様へ向けて、メッセージをお願いいたします。

今は大阪だけに限らず、全国至るところに保護猫カフェ・保護犬カフェがあります。すべてお客様に来ていただいて成り立つお店です。

(里親として保護猫を)お迎えするかどうかは抜きにして、遊びに行っていただきたいです。遊びに行くことが、保護猫・保護犬を応援する手っ取り早い方法だと思いますので。

多くの方に遊びに行っていただけると、僕は嬉しいです。

Q.最後になりますが、2023年も『推し猫グランプリ2023』を開催予定です。ご参加いただけますか?

もちろん、うちでよければ参加させていただければと思います。

◎『猫カフェねこの木』さんインタビューまとめ

▲画像引用:譲渡型猫カフェ「ねこの木」公式ホームページ

「猫のこと以外はしゃべらないようにしている」という言葉通り、多くは語らずひと言ひと言を大切にお伝えしてくださった長谷川さん。

「橋渡しをしているだけ」という謙虚な言葉の中に、胸に秘めた思いが強く伝わりました。

その強い想いが、現場に出向き猫ちゃんを救い、多くの命を受け入れ、譲渡に結び付けている行動力につながっているのでしょう。

長谷川さんのおっしゃる通り、まずは店舗に足を運ぶこと。それが誰にでもできる保護活動の最初の一歩です。ぜひ、お近くの保護猫カフェ・保護犬カフェに遊びに行ってみてください。

 

取材:南マイコ
文章:大久保ユカコ/南マイコ

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