猫カフェ いろり「みんなで学び楽しめる場所に」|推し猫グランプリ2021特別インタビュー

『推し猫グランプリ2021』でaoneco賞を受賞された『猫カフェ いろり』さん! 保護ねこさんのケアや里親募集だけでなく、猫ヨガ教室などの「猫と楽しむ」イベントを数多く開催しています。

うまくアピールができなかったり、長いお付き合いが必要だったりする保護猫さんを積極的に受け入れ、新しいご家族へつなぐ活動に取り組む「いろり」さんへ、活動に込める想いや今後の未来像などをたっぷり伺いました!

◎『猫カフェいろり』とは? 基本情報・経歴

画像引用:『猫カフェいろり』公式ホームページ

・静岡県藤枝市にオープンした、里親探しを目的として作られた猫カフェ
・アクセス:藤枝駅北口から徒歩約3分と好立地
・のびのびとした猫たちと触れ合いが楽しめる癒しの空間
・2022年1月に2周年を迎え、各種イベント開催も考案中
・人気イベントは「猫ヨガ教室」

 

◎『推し猫グランプリ2021』aoneco賞受賞!

Q.『推し猫グランプリ2021』aoneco賞受賞おめでとうございます! 受賞を知った時のお気持ちや周囲の方の反応はいかがでしたか

オープンして1年弱の小さな個人店が受賞するとは夢にも見ていなかったので、正直に申し上げると……全くの予想外でした!

恥ずかしながら、ランキング発表当日も私自身は受賞に気づいていませんでした。やけにはしゃいだ様子の常連のお客様がいらっしゃって、そこで教えてもらい「そんなバカな……(笑)」と思いながら確認したところ、本当だったのでビックリしましたね。

ほかのお客様や身内からも日ごろの頑張りの結果だと多くの励ましをいただき、大変ありがたかったです。

■aoneco賞受賞となった当グランプリ結果発表ページにも、温かい応援コメントが寄せられました。

大好きないろりさん。いつも楽しい時間をありがとうございます!

いろりさん大好きです^ ^これからも天使達をよろしくお願いします!

フレンドリーな子達が出迎えてくれる、いろりさん。これからもみんなを癒し続けて下さいね。陰ながら応援していきます。

 

◎『保護猫カフェいろり』として保護猫活動を始めたきっかけ・熱意

Q.保護猫カフェ・保護猫活動を始めたきっかけや経緯、活動に対する想いを教えてください。

私自身も記憶があいまいな、おそらく5~6歳のころのことですが。祖父母の畑にあった納屋で、とても弱っていた子猫を見つけ、家族に迎えたのが最初のきっかけです。

その後も自宅のガレージに迷い込んで出産してしまった母猫や、生まれた子猫の里親を学校で探したり、やむを得ない事情で猫と生活できなくなった知人の猫を引き受けたり、職場で保護された猫を引き受けたりするなど、さまざまな事情で常に身近に猫がいる生活が当たり前になっていました。

そんな状況の中、外で生活する猫たちの悲しい現実を知りました。保護したものの、助けられなかった子もいました。

それでも常にそばにいてくれ、癒しを与えてくれる猫たちと暮らしていると、むしろ助けられていたのは私自身のほうだったことに気が付いたんです。そんな猫たちへの恩返しの思いから、何か猫たちのためになることがしたい! と考えていましたね。

そんな折に、静岡県の社会問題解決に寄与する起業プランへの補助金支援の募集があることを知りまして。漠然と考えていた「保護ねこ譲渡型カフェ」のプランを具体化して応募し、無事に採択されたことで実際にお店を立ち上げることになりました。

Q.ご自身の決断が形になったのが「猫カフェいろり」なんですね! オープンされてから現在に至るまで、特に印象に残っているできごとは?

オープンからわずか数か月で新型コロナ感染が本格化し、緊急事態宣言や休業要請が出てしまったことです。 まだまだこれからお店の知名度アップや、常連のお客様をつくっていかなければならないタイミングでしたので……。初年度の経営としては本当に大変でした。

それでも熱心に通ってくださる常連様が少しずつ増え、支援金・物資をお持ちくださる方のご協力などもあり、なんとか2022年1月に2周年を迎えることができました!

Q.コロナ禍でのオープンとなり、ご苦労もたくさんあったかと思います。実際に保護猫カフェの運営をスタートしてみて感じたことは?

一般的な譲渡会にでは、どうしても見た目がきれいな子や人間が大好きな性格な子から里親様が決まっていくことが多いと思います。それはそれで素晴らしいのですが、その反面で自己アピールが苦手でなかなか決まらない子も出てきてしまいます。

そんな子たちに目を向けてほしいと感じ、当店ではむしろ、長期的に見守ってあげる必要がある子たちを迎え入れています。人スタッフの取り組みによって、譲渡のチャンスを増やしてあげることが保護猫カフェの存在意義の一つであると感じています。

Q.保護猫さんたちと過ごす中で感じる「幸せな瞬間」や「大変なこと」を教えてください。

当店には長期的な目で見守ってあげてほしい子たちが多いので、中には身体を触らせてくれない子や、ほかの子との集団生活が苦手な子などもいます。

そんな子たちへの心身の健康維持は本当に大変です。 しかし手がかかる子ほど可愛く、徐々にでも心を開いてくれたときのうれしさはひとしおです!

また、譲渡が決まってからもときどき様子をお知らせしてくださる里親様も多く、 可愛がってもらって幸せそうに暮らしている様子を知ることができるのは何よりの励みになりますね。

 

◎保護猫の仲間入りから譲渡まで

Q.保護猫さんたちは、どのような経緯でお迎えされることが多いのでしょうか?

 

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基本的には協力している保護団体からの受け入れになります。当店の飼育キャパが空き次第、健康状態に問題ない子の中から迎え入れています。

 

Q.施設内には常時何匹くらいの保護猫さんが暮らしているのでしょうか? また、年間で何匹の保護猫さんが譲渡に至っているのでしょうか?

譲渡次第で前後しますが、だいたい10~15匹が生活しています。年間で約10匹が譲渡となり、オープン以降2年間で約20匹が当店から卒業していきました。

一人で運営している小さなお店ですので譲渡数を大きく増やすことは現状難しいですが、そのぶんその子の個性に合う里親様をじっくりと見極めてあげたいと思っています。

※里親さま募集中の保護猫さん情報はこちら(「猫カフェいろり」公式HP)

 

Q.譲渡先が決定した時の率直なご感想や想い、印象に残っているエピソードを教えてください。

譲渡が決まった時はもちろんうれしいですが、懐いてくれていた子ほど寂しさも強いのが正直な気持ちです。それでも、その子の幸せのチャンスを邪魔してはいけませんので、今までの感謝とともに笑顔で送り出してあげるようにしています。

どの子も思い出深い子たちばかりですが、強いていえば、兄弟二匹で譲渡した子たちのためにご自宅を猫仕様に新築された方がいらっしゃいました。そこまでしてくださるお宅に送り出したのは間違いではなかったと、とてもうれしくなりました!

 

◎幅広い取り組み&今後の未来像

Q.猫ヨガ教室や猫グッズ販売など、猫カフェ運営から展開させた事業に取り組まれていますね! 実際に利用されている皆さんの反応や取り組み始めたきっかけを教えてください!

猫ヨガ教室はほぼ毎回定員になるくらいご好評いただいておりますし、猫グッズ販売も活動資金確保の+αとして重要な一つとなっています!

どちらもお店をオープンする前から計画していた事業ではありますが、結果的には昨今のコロナ禍における来客数減少を乗り切るための大切な収益となりました。

猫ヨガ教室は継続的に続けていきたいと思っていますし、猫グッズもいろいろな作家さんの品ぞろえを増やしていきたいと考えています。

 

Q.今後、取り組んでいきたい事業やチャレンジはありますか?

既存の猫ヨガ教室をはじめ、「猫に邪魔されながら」をコンセプトに楽しむイベントやワークショップ開催を企画しております(笑)

ハンドメイド教室やボードゲーム大会、ニャン婚活イベントなどですね。猫好きなお客様が集まり、みんなで学び楽しめる場所にしていきたいです!

 

Q.SNS運用面で意識されていることがありましたら、ぜひ教えてください!

あくまで主役は猫たちであり、一人一人の個性をアピールしてあげたいと思っています。 あとはその子の過去にいくら悲しい経緯があったとしても、今とこれからのポジティブな姿を見てあげてほしいという思いでSNS運営しています。

ただ、実物のほうがずっとかわいいのに上手に撮ってあげる私の技術がまだまだ足らず、もどかしい限りです(笑)

それと、当店では広告宣伝のために『お客様がSNSに投稿していただくと割引を受けられる』といったサービスもご用意しておりますので、ぜひご利用ください。

 

◎『猫カフェいろり』さんからメッセージ

Q.最後に、保護猫活動家の方や読者の皆様へ向けて、メッセージをお願いいたします。

最終的な理想としては、当店を含め保護猫カフェの存在が必要なくなるくらい、全ての猫が幸せに暮らせていける世の中になればと思います。ただ現状ではその道のりは遠く、全ての猫を救うことは残念ながら不可能です。

  • 猫を飼えなくても保護猫カフェを利用したり、グッズを購入する
  • ボランティアに志願したり、支援物資を送る
  • 猫を保護した場合、どこかに丸投げするのではなく自分で可能な限りのことはする

などなどいろいろなご支援の方法がございます。些細なことでも必ずできることがあるはずで、それが我々にとっても非常に大きな力になります。

当店としても、何よりまずは不幸な猫を増やさないための「屋内飼育」「避妊去勢手術の実施」「終生飼育」の徹底を今後とも呼び掛けてまいります。

保護猫に関する問題の理解が深まり、問題解決へのきっかけの一つとなることを切に願っております。

Q.最後になりますが、2022年も『推し猫グランプリ2022』を開催予定です! ぜひ意気込みをお願いいたします!

次回も上位入賞を目指してエントリーさせてもらうつもりです!

その際には、お客様方のお力をお借りできれば当店の猫スタッフたちも喜ぶと思いますので、応援のほどよろしくお願いいたします。

このグランプリをきっかけに全国の保護猫カフェ全体が盛り上がり切磋琢磨して、猫にとってもお客様にとっても素敵な場所に成長していけたら素晴らしいと思っています。

 

◎猫カフェ いろり様インタビューまとめ

猫ちゃんの保護や里親探しだけでなく、猫グッズ販売や猫ヨガといったイベントも精力的に行なっている「猫カフェいろり」さん。

「些細なことでも必ずできることがある」という力強いお言葉はとても印象的で、自分たちができる“小さな支援”が”大きなチカラになる”ことを改めて実感。

保護猫たちを取り巻く現状と未来について、今一度考えるきっかけをいただけました。ひとりでも多くの読者さんへこの言葉が伝わり、社会を動かす力となることを願ってやみません。

「猫に邪魔されながら」をコンセプトに楽しむイベントやワークショップ開催、今からワクワクですね! コロナによる逆風に強く立ち向かう「いろり」さんへ、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

取材/南マイコ

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