「保護猫0で休業中の保護猫カフェ」を目標に活動されている『保護ねこcafe Familia』さん。
クラウドファンディングを通じてファンの方から支援を募ったり、ボランティアの方が作られた可愛らしいい雑貨を販売をしたり、多くの方の協力を得ながら資金を集め、オープンからの7年間で270匹もの猫たちの命を新しいご家族へつないでいます。
オーナーの内海様に、保護ねこcafe Familiaの特徴や、譲渡の方法、カフェ以外の活動、保護活動に対する想いなど、たくさんお伺いさせていただきました。
◎『保護ねこcafe Familia』とは? 基本情報・経歴
画像引用:クラウドファンディングREDY FOR
・広島県福山市にある保護猫カフェ
・Facebook:facebook.com/catcafe.familia/?locale=ja_JP
・Instagram:instagram.com/hogonekocafe_familia/
・X(旧Twitter):x.com/catcafefamilia
クラウドファンディングでは活動に対する強い想いや、実際のお写真などがたくさん掲載されています▼
クラウドファンディング:https://readyfor.jp/users/298298
◎『推し猫グランプリ2024』入賞!
Q.『推し猫グランプリ2024』8位入賞おめでとうございます!第2回からご参加いただき、徐々に順位を上げていらっしゃいますね。受賞を知った時のお気持ちや周囲の方の反応はいかがでしたか?
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応援してくださる皆様に、感謝の言葉しかありません、ありがとうございます。
お客さんとか里親さんに、投票したよとけっこう言っていただいて。
他の大きな猫カフェさんの中でうちみたいな小さなカフェを推薦してもらって、推していただいて、本当にありがたいなと思っています。
◎『保護ねこcafe Familia』や保護猫活動を始めた経緯とその原動力
Q.保護ねこcafe Familiaを始めたきっかけや経緯を教えてください。
もとは愛護団体のボランティアとして活動していて、地域ネコ活動とかTNR活動(※)、適正飼養の啓蒙活動、動物愛護センターに保護された猫の里親探しなどをしていました。また10年くらい前から、行政と協力して多頭飼育崩壊のお部屋の掃除に行ったり、猫を保護したりなどの、現場のお手伝いもしていました。
そこで保護した猫たちを各ボランティアのおうちで預かり、譲渡会の際に集まるという形で里親探しをしていました。でも、引っ込み思案の成猫は譲渡会ではお声がかからないんですよね。
ずーっとずーっと残ってる子が3匹いましてね、どうしたものかと悩んでいたんです。
そんな折、猫カフェをしていた物件が空くとタイミングよくお声かけをいただき、「それなら猫たちに自分でエサ代を稼いでいただこう!」という話になり、保護猫カフェをオープンすることになりました。
猫カフェでは残っていた3匹の猫たちの自然な姿を見てもらうことができ、オープン2ヶ月後にはお家が決まりました。どんな子でも、環境を整えればお家は見つかります。
※TNR活動とは? 引用:公益財団法人どうぶつ基金『さくらねこTNRとは』 外で暮らす猫たちを望まない繁殖から守り、一代限りの命をまっとうしてもらう活動です。 |
Q.では、内海様はなぜ猫の保護活動に関わるようになったのですか?
実は、私は犬しか飼ったことがなかったんです。笑
毎年自宅の庭で出産する猫がいたんですけど、興味がなかった当時は生まれた子猫たちに対し「成長してはやく出てってくれたら」と思っていたほどです。
でも13年前、子猫たちがお母さんから離れてうちの玄関前でニャーニャー鳴いたんですよ。毎日毎日、1週間くらい続いたかな。野良猫の子なのに人懐っこくてね、さすがに放っておけないなと、家に入れたことがきっかけです。
その子たちの健康チェックをしてもらった動物病院でTNR活動について教えていただき、母猫の不妊手術を行いました。
それから気が付いたら同じような仲間が見つかって、みんなで愛護活動をしようと話して、今に至るという感じです。
私がこんなに猫の活動をするなんて、15年前の自分は想像していませんでしたね。
ちなみにその子猫たちは、今もうちで元気に暮らしてくれています。
◎『保護ねこcafe familia』さんの様々な活動
Q.小さなカフェとおっしゃっていましたが、どんな保護猫カフェなのでしょうか?
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猫たちが本当にいい子ばかりで、お客さんに「ここは猫たちに襲われるカフェだよね」って言っていただくくらい、猫たちが頑張ってくれています。
そのためか、ありがたいことにリピーターさんがたくさんいらっしゃいます。他県など遠方からもたくさんご来店いただいています。
カフェ運営と並行してTNRの活動も続けていて、今カフェにいる子はTNRをした子が多いですね。
今は猫のストレスを考慮して、完全予約制の1時間コースのみで運営しています。
店頭には専門スタッフ3人、土曜日曜はボランティアスタッフがいるほか、預かりボランティアや手芸部のスタッフなど多くの方に支えられています。みなさんに完全な奉仕で助けてもらっています。
細々でも継続できているのは、たくさんのご支援者様のおかげです。
Q.2017年のオープンから270匹が譲渡されているそうですね。譲渡先は主に来店から決まるのでしょうか?
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そうです、譲渡先はすべてご来店のお客さんですね。
でもうちは1回では決めないでもらっています。インスピレーションを感じた子がいたらお声かけいただき、譲渡条件、適正飼養や猫を飼う覚悟などご説明させていただいて、一度持ち帰って家族会議をしていただきます。
里親さんとうちのスタッフとの人間関係も築いていただくようにしています。やっぱりお互い家族になりますからね。
その里親さんからの口コミや、ご来店のお客さんからですかね、270匹という譲渡に至っています。
Q.クラウドファンディングはすごく丁寧に細かく書き込んでいらっしゃいますね。寄付を募る上で意識されていることはありますか?
「目標」と「やりたいこと」を明確にかつ簡潔に伝えるように意識しています。最後に詳細は加えますが、基本的には最後まで読まないとわからないようなことはせず、簡潔に書くように努めています。
加えて、支援をいただくだけじゃなく、リターンをもっと充実させたいと思っています。リターン品は知人や里親さんの支援なので、販促もかけて商品が素敵に見えるようにという意識もしています。
◎『保護ねこcafe Familia』さんの想いと今後について
Q.保護猫カフェ運営や保護活動において、印象に残っていることを教えてください。
福山市出身の作家さんが亡くなられ、そこの子が縁があってうちに来ています。「キャシー四世」というんですけどね。その子が今年の12月13日で21歳を迎える予定なんです。
オシメをしているわけでもなく、事務所の階段の上り下りもするし、ご飯もパウチ3袋とカリカリを毎日完食するんです。
14歳でうちに来て、今も元気でいてくれて、ほんっっとうに嬉しいなと思っています。
あと2年くらい前かな、多頭飼育崩壊の現場で保護した当時2歳の子が、3歳という若さで腎不全のステージ4と判明したんです。
最期まで看取ったのですが、性格もかわいくて穏やかな女の子でしてね、もっともっと生きてくれたらなぁと思いますよね。
やっぱり多頭飼育崩壊の現場は不衛生ですし、エサの種類もわからないうえ、水もなかったかもしれません。なんといいますか、適正飼養の大切さを改めて考えさせられました。
暮らす環境で寿命はある程度変わります。だから里親さんには、フードの知識などの適正飼養について、丁寧にお伝えし続けていこうと思っています。
Q.今後の目標や活動ビジョンを教えてください!
『保護ねこcafe Familia』の名前は、「猫たちが自分の家族のもとで幸せに暮らすことができますように」という想いと、「保護中のカフェが自分の家族と同じ温かい場所であるように」と願いを込めてつけた名前です。
また開店時からの目標は『「保護猫0」で開店休業中の保護猫カフェ』です。
でもなかなか、簡単に達成できることではないんですね。これからも引き続きTNR活動をしながら、ひとりひとりへの啓蒙活動をしながら、その中でできてしまった保護猫を里親さんへ大切に繋いでいきたいなと思っています。
猫に癒しをもらっているので、恩返しです。
また私が一番心配していることが、これから増えるであろう高齢者の問題です。高齢の方が施設に入所するから飼えなくなったなど、本人からもヘルパーさんからも相談が多いんですね。
私自身も高齢者に近いことを踏まえ、保護するだけでなく、飼えなくなることがないようなシステム、仕組みを考えることがこれからの課題だと思っています。
Q.これからの課題のひとつとおっしゃる高齢者の問題で、具体的な取り組みなど考えられていますか?
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『保護ねこcafe Familia』では、一応は60歳が譲渡の上限としています。でも高齢の方にも推奨はしているんです。
条件として、後見人を立てていただくことをお願いしています。飼えない状況になったらカフェに戻してもらうという譲渡に近い『預かりボランティア』みたいな制度の推進もしています(状況確認のため定期的な連絡が必須)。
もちろん飼えなくなる時の心構えや対応などのお伝えはしつつ、高齢の方にも猫との暮らしを楽しんでいただきたいと思っています。
◎『保護ねこcafe Familia』さんからメッセージ
Q.読者の皆様へ向けて、メッセージをお願いいたします。
いつも『保護ねこcafe Familia』を支えていただいてありがとうございます。
お客さんいわく、「猫がグイグイきて襲われる猫カフェ」です。笑 そんな可愛い猫たちがたくさん待っています。どうか会いに来てやってください。
そしてこれからも、どうぞよろしくお願い致します。
Q.2025年も『推し猫グランプリ2025』を開催予定です。ご参加いただけますか?
ぜひぜひ、ノミネートしていただけるようにこれからも頑張ります!
◎『保護ねこcafe Familia』さんインタビューまとめ
画像引用:クラウドファンディングREDY FOR
オーナーの内海様はクラウドファンディングで、必要なもの、単価、猫の数、日数などを記載し、明確な計画と目標を掲げて寄付を募っています。恐らく様々な問題に明確なプランを立て、ひとつずつ丁寧に真摯に取り組んできたのだと思います。
『「保護猫0」で開店休業中の保護猫カフェ』という大きな目標のために。
明確な目標に向かう強い心で守られたカフェで暮らすからこそ、猫ちゃんたちが心から安心でき、「猫たちに襲われるカフェ」になっているのでしょうね。
そんな堅実な保護ねこcafe Familiaオーナーの内海様に、活動の中で印象に残っていることをお聞きすると、まず一番に保護した猫が21歳を迎えようとしている喜びを伝えてくれました。とても嬉しそうに、少し自慢げに。
多頭飼育崩壊の現場などにも出向き、目を背けたくなるような辛い現状をたくさん見てきた方の口から最初に出てきたのは、変わらない日常を過ごす猫ちゃんの存在。
内海様、保護ねこcafe Familia様の目指すものが、グッと伝わりました。
みなさん、猫ちゃんたちに襲われに行きましょう!!
取材/文:大久保ユカコ