思わず聞き返したくなる店名と、宇宙空間のような店内を持つ独自性の強い保護猫カフェ『拝啓ねこ様』。様々なイベントを開催していたり、芸能人が登場したりと、気になることが盛りだくさんのお店です。
今回は、VEGA様(夫)と近藤様(妻)の夫婦おふたりで取材をお受けくださり、たくさんお話をお伺いすることができました。
一風変わった保護猫カフェのコンセプト、そこに隠された温かい想いなど、ご紹介させてください!
◎『拝啓ねこ様』とは?基本情報
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・杉並区阿佐ヶ谷にある保護猫カフェ
・公式リンク集:https://aboutme.style/haikeinekosama
・X(旧Twitter):https://x.com/haikeinekosama
・Instagram:https://www.instagram.com/haikeinekosama/
・note:https://note.com/haikeinekosama
・オンラインショップ:https://haikeinekosa.base.shop/
◎『推し猫グランプリ2024』入賞!
Q.『推し猫グランプリ2024』9位入賞おめでとうございます!第3回からご参加いただき、徐々に順位を上げていらっしゃいますね。受賞を知った時のお気持ちや周囲の方の反応はいかがでしたか?
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推し猫グランプリは、常連さんがきっかけで知りました。SNSで毎日しつこく宣伝していたら、お客さんが別の人に宣伝してくれたりと応援が広がっていって、たくさんの方が応援してくださったのを実感しています。
店頭でも「投票しましたよ」と直接言ってもらうことも多く、お客さんと同じ目標に向かってる、一緒に進んでいるっていう感じが僕らには初めてで、とても嬉しかったです。
◎宇宙船をイメージした『拝啓ねこ様』
Q.『拝啓ねこ様』を始めたきっかけや経緯を教えてください。
(画像引用:note haikeinekosama 2021年10月8日「1周年」)
僕はもともと芸人『VEGA』として活動していたのですが、うまくいかず辞めようかと葛藤していた時、当時付き合っていた奥さんに保護猫カフェに連れて行ってもらいました。保護猫や保護活動のことを知ったのはそのときが初めてで、びっくりというか、感銘を受けまして。
帰りに「保護猫カフェをやりたいな」と言ったら、ふたりの意見が一致して。
奥さんは、以前から保護猫カフェにお客さんとして通っていて、そこから保護猫も迎えていて、ぼんやりなにかしたいなと考えていたところだったんですね。
で、すぐ保護猫カフェの始め方をネットで調べて、1週間後にはそのカフェでボランティアさせてもらうっていうすごいスピードではじまりました。笑
奥さんは猫カフェをする条件をクリアするために、保護猫カフェと動物病院の両方で働きました。タイミングよく紹介していただくことができ、必要な資格が同時に取れ、また病院では様々な知識を習得でき、すべてが繋がっているなと、導いてくれた人たちに感謝するばかりです。
Q.『拝啓ねこ様』というネーミングにはどのような意味があるのですか?
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猫ちゃんたちに助けられている感謝の気持ちと、猫ちゃんを上に置きたいっていう考えと、卒業した猫ちゃんたちに僕らが手紙を出せるような関係性だといいねっていう想いがあって。
音の響きもいいので、ふたりで「これだね」ってしっくりきました。
いまは毎年、卒業猫ちゃんたちに年賀状を送っています。
Q.店内には特有の装飾が施されていますね。『拝啓ねこ様』のコンセプトを教えてください!
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お店をつくる前に、プラネタリウムっぽい猫カフェにしたいと思っていたんですけど、実際にそうすると、暗すぎて猫ちゃん踏むなってなって断念しました。笑
せめて壁紙を宇宙にして、宇宙船に乗っている設定にしようと妥協しました。お店は『宇宙船』で、猫ちゃんたちは乗組員です。里親さんが決まったら、『惑星』に向かう設定です。
私たちにとって、『トライアル』という言葉がしっくりこないんです。「試してダメならすぐに返せるんでしょ?」っていう感覚に捉えられそうで。
「猫ちゃんがお家に慣れるための期間」として一定の期間を設けているので、『トライアル』という言葉を遣わす『探索期間』と呼んでいます。
毎回お客さんに説明するのがめんどくさかったりもするんですけどね。笑
◎より猫を愛してもらうための積極的な活動
Q.『拝啓ねこ様』が大切にされている理念を教えてください。
2025年一発目の #拝啓ねこ様ネコヨガ 🧘♀️
2/2 12:00〜14:00
4000円(一部を拝啓ねこ様にご寄付いただきます😭)ネコちゃんと同じ空間で癒されながら
ヨガしませんか?
猫とヨガ好きな方!是非❣️
ご予約お待ちしてます‼️ご予約は⬇️か拝啓ねこ様へ
nyannyoga@yahoo.co.jp#阿佐ヶ谷 #保護猫カフェ pic.twitter.com/JuCTMWvzl7— 拝啓ねこ様 阿佐ヶ谷の保護猫カフェ (@haikeinekosama) December 14, 2024
最近はテレビでも保護猫について取り上げられていますが、実際はじめて保護猫カフェに来た人と話すと、「やっぱりお迎えするとなったら敷居高いんでしょ」とか「里親になるのは難しいんでしょ」とか言われます。
まずは知ってもらい、実際に保護猫ちゃんたちに触れてもらいたいということで、そのきっかけとして拝啓ねこ様がありたいなと思っています。
そして、「楽しく保護猫を支援できる」っていうのが目標です。
芸人さんのイベントに参加できたり、可愛い猫雑貨を買えたり、猫ちゃんにもフミフミしてもらいながらマッサージを受けたり、猫ちゃんに邪魔されて運命変えられながら占いを受けたり。笑
入口は楽しいような感じで入ってもらって、そこから保護猫を知ってもらうきっかけを作っています。
他にも里親さんや、もともと猫ちゃんと暮らしてる人向けに、寿命にも大きく関わる口腔ケアのやり方や、シニア猫との暮らし方、猫と一緒の防災についてなど、適正飼育を啓発する講習会などをしています。
保護猫ちゃんたちがおうち行ってもいろいろ相談できるような関係性を築いて、「猫ちゃんと里親さんの懸け橋になればいいな」と思っています。
Q.たくさんのイベントを開催しているのですね。芸人さんも多く参加されていますが、吉本興業様との連携があるのでしょうか?
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まだピン芸人『VEGA』として吉本興行に籍がありまして、吉本興行が連携して保護活動を応援してくれています。月に1回、芸人さんをゲストとして招き、『よしもと保護猫交流会』というイベントを開催しています。
芸人仲間がプライベートで来てくれることもあります。
でもまだまだ集客が足りません。ムラがあるんですよね、すごく忙しいときと、すごく暇なときと。「これだけやってもこれだけか」というのがここ何年かで感じたことであり、もっともっと頑張らないとなって思います。
今年は新しく10個以上も新企画を考えました。他にも考えている取り組みがたくさんあります。
Q.他にも考えられている取り組みとは、どんなことですか?
(画像引用:ねこ貴族オンラインショップ)
拝啓ねこ様は、リトルキャッツという保護団体から猫ちゃんたちを受け入れています。他にも同じようなカフェが10個くらいあります。
その大元のリトルキャッツや、他のカフェを支援したいと思い、リトルキャッツを題材にしたコーヒーやお菓子を作成しています。
お土産とか差し入れとして購入することで、リトルキャッツとお店の支援に繋がるという商品です。
まだ途中で、これからもっともっと広がればいいなって頑張っています。
購入はコチラから⇒ねこ貴族オンラインショップ
◎苦難を乗り越えてのこれから
Q.オープンからここまでの4年間、特に印象に残っていることはどんなことですか?
本日20時まで!駆け込め! pic.twitter.com/ZH0UsbDL18
— 拝啓ねこ様 阿佐ヶ谷の保護猫カフェ (@haikeinekosama) December 6, 2024
大変だったのは、お店をオープンするときです。オープンに向けた作業だけでもやることが多くバタバタするのに、ちょうどコロナの始まりがオープン時期と重なりました。加えて、うちの猫ちゃんがFIP(エフアイピー)という難病になってしまって。
オープン、コロナ、FIPと3つの大変なことが重なってしまい、そのときが体力的にも精神的にも、人生で一番きつい時期でしたね。
どうにか乗り切れた時は嬉しかったですけど、やってる最中は本当に大変でした。気合いを入れ続けていたからか、芸人のときは毎冬何度も風邪をひいてたのに、猫カフェをはじめてからは全く風邪をひかず、自分でも驚いています。笑
守らないといけないものがあると強くなるんですかね。
Q.FIPとはどんな病気なのでしょうか?またFIPの闘病の中で大変だったことなどあれば教えてください。
FIP(猫伝染性腹膜炎)はウイルスによって引き起こされる難病で、これまでは助けられない病気とされていました。
ですが、うちの子が発症したとき、ちょうど新しい未承認薬が出始めた時期だったんです。とはいえ病院の先生もまだ知らないことが多く、情報が無いことが本当に大変で、新旧の情報が混ざり、なにが正しいのかもわからず……。
オープンの準備をしながらたくさんリサーチをして、詳しい先生がいる病院を聞いてそこまで通ったりと、本当に大変でした。
でも頑張ったおかげで、うちの子は助かることができました。
その後お店の子が2匹もFIPになってしまったのですが、以前の経験があったので適切に対応でき、どちらの命も救うことができました。
また里親さんやそのお友達など、FIPについて悩んでいる方に情報や対処法などをお伝えすることもあります。
すごく大変でしたが、うちの子の治療経験のおかげで他の子の命も助けられている、繋がっていると思うと、あの時に頑張って本当によかったなって思います。
病気について詳しくなりすぎて、病院の先生が、「拝啓ねこ様が詳しいから聞きにいくといいよ」と紹介してくださり、患者さんがお店に話を聞きに来るなんてこともありましたね。笑
◎『拝啓ねこ様』さんからメッセージ
Q.読者の皆様へ向けて、メッセージをお願いいたします。
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まずは応援してくださって、本当にありがとうございます。
これからも、猫ちゃんと暮らしている方、これからお迎えしたい方、保護猫を知りたい方、みなさんが楽しんで保護猫と触れ合って、保護猫を考えていけるような企画を考えていこうと思っていますので、応援していただければと思います。
もし少しでも興味がありましたら、ぜひ参加していただけると嬉しいです。
Q.2025年も『推し猫グランプリ2025』を開催予定です。ご参加いただけますか?
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来年こそ優勝で。笑 頑張ります!
◎『拝啓ねこ様』さんインタビューまとめ
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オンライン取材の画面越しでも、FIPを克服した愛猫ちゃんが登場した瞬間におふたりの空気が柔らかくなるのを感じました。猫ちゃんが大好きなおふたり。
今の目標は、芸人ではなく猫カフェとしてのブレイク。ブレイクしたときに望むのは、収入でも人気でもなく、世のすべての猫ちゃんたちの幸せ。
保護猫のことだけでなく、今一緒に暮らしている猫ちゃんや、これから縁がある猫ちゃんのことも考えた多様な活動をされています。
noteに何度も繰り返される感謝の言葉。
「もっともっと頑張らないと……」何度も漏れていたおふたりの口癖。
ひとりでも多くの人と猫ちゃんに、この温かい気持ちが届いてほしいなと思います。
「拝啓、ねこ様。」
この言葉のあとに、どんなお手紙が続くのでしょうね。
これからのおふたりの物語が楽しみです。
取材/文:大久保ユカコ