保護ねこカフェもりねこ様「ねこもひとも、しあわせに。」|推し猫グランプリ2021特別インタビュー

『推し猫グランプリ2021』猫カフェ部門で見事、準々グランプリを受賞された「保護ねこカフェもりねこ」さん。

『NPO法人 もりねこ』として、保護猫カフェの運営をはじめ、「ねこもひとも、しあわせに。」をコンセプトに幅広いご活動に取り組まれています。

そんな保護猫活動への想いや現状、同じ保護猫活動に取り組む方に伝えたいコトなどについて、たっぷりお話を伺いました!

◎『もりねこ』とは?基本情報・略歴

・認定NPO法人 もりねこ
・代表理事 工藤幸枝さん
・2014年に盛岡では初めての試みとなる「ねこの保護と里親探しのためのねこカフェ」をオープン
・コンセプトは「ねこもひとも、しあわせに。」
・現在は保護ねこカフェの他、ハンディのある猫たちと触れ合えるシェルター、老病ねこのためのケアホームも運営中
公式YouTubeチャンネルは登録者数1100人以上(2021年8月時点)

今回は代表理事である工藤さんに、保護ねこ活動やNPO法人としてのご活動などをインタビューしました!

 

◎「推し猫グランプリ2021」準々グランプリ受賞!

Q.『推し猫グランプリ2021』準々グランプリ受賞おめでとうございます! 受賞を知った時のお気持ちや周囲の方の反応はいかがでしたか?

エントリー段階でとてもたくさんの猫カフェさんがエントリーされてたので、すごいなーと思っていました。

結果を知ったときはスタッフみんな、すごく喜んでました! この中から選ばれるなんて思ってなかったので(笑)

常連のお客様からも「おめでとうございます」と声をかけていただいたり、投票してくださったって声をかけてくださったりもしました!

 

■準々グランプリ受賞となった当グランプリ結果発表ページには、数多くの応援コメントが溢れています。

応援してます。ねこも人も幸せに・・のフレーズが大好きです。これからもがんばってください!

もりねこに出会って命の大切さ猫の尊さ、生き方まで変わったように思います。私もこれからも小さなかけがえのない命を救う手助けをしていきます。

もりねこさんには個性豊かな猫ちゃんがたくさんいるので見ていて飽きません。店内も常に清潔でスタッフさん達の努力が伝わってきます。毎日更新されるブログが本当におもしろいです。楽しいブログをありがとうございます!

◎“もりねこ”として保護猫活動をはじめたきっかけ・熱意

Q.盛岡市では初となる「保護猫カフェ・保護猫活動」をスタートされたきっかけを教えてください。

▲画像引用:保護ねこカフェ「もりねこ」公式Facebook

私自身、もともと猫が大好きだったんですけど、猫を飼い始めたのは大人になってからなんです。結婚を機に猫を飼い始めて、すごく可愛くて、大事に大事にしていました。

その一方で猫のことを調べていくうちに、お外の猫たちはご飯も食べられずに飢え、保健所に持ち込まれ、殺処分されているっていうことを知って。

そのギャップが衝撃的というか、本当にショックで。なにか自分にできることはないかなって考え始めたのがきっかけですね。

Q.その思いを行動に移せたきっかけは?

私はもともと札幌に住んでいましたが、その時にアルバイトとして、保護ねこ活動を実施している『ツキネコカフェ』さんにお世話になりました。

そこで色々勉強させていただいて。後に岩手に引っ越すことになりましたが、それを機に、こっち(盛岡市)で自分で始めてみようかなって思ったのがきっかけですね。

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Q.NPO法人化も『ツキネコカフェ』での学びがあってこそなのでしょうか?

はい、そうです。私がツキネコカフェさんに関わらせていただいた時に感じたのが、「長く継続していくうえで、もし代表に何かあった時にスムーズに継続していける体制は大事だ」ということでした。

その経験から、なるべく早い段階で、誰がやっても続けていける団体にしたいという思いがあり、『NPO法人もりねこ』として認定を受けました。

Q.NPO法人化にはどんなメリットがありますか?

NPOとして認定を受けた瞬間から劇的に何かが変わる、というわけではありませんが、やっぱり法人であることで信用を得やすいというメリットはあると思います。

あとは、2019年から認定NPO法人になりまして、認定を取ったことで寄付してくださった人が控除を受けられるようになりました!

税制上でのメリットが得られるようになったので、そういった面で支援してくださる方・団体も少しずつ増えているのかなと思うところではあります。

※「NPO法人」と「認定NPO法人」のちがい

「NPO法人」と「認定NPO法人」はいずれも、行政にも企業にも属さずに自由な社会貢献活動を行うものとして内閣府から認められた市民団体です。
両者は寄付に関する税制に違いがあり、「認定NPO法人」に寄付した場合、寄付した側は税額控除や所得控除といった税制上の優遇が受けられます。

ただ、NPO法人化するデメリットというか、大変な部分もあります。

経理処理や領収書の発行などの事務作業など、猫以外の仕事が増えてしまう面はどうしてもありますね。とくにNPO法人となると、行政にたくさん書類を出さなくてはいけなくて。

なので、そういう面に詳しい専門家に相談したり、本来の(保護ねこ)活動とそれ以外の業務とのバランスを見ながらやっていく必要があるのかな、と考えています。

◎保護猫の仲間入りから譲渡まで

Q.これまでのご活動の中で印象に残ったエピソードを教えてください。

6年くらい前の話ですが、保健所から「多頭崩壊で10匹ほどの猫を保護したので、もりねこで引き取って欲しい」って言われたんです。でも、保護した猫が猫エイズのキャリアだったんですね。

その時に保健所の方から「猫エイズだったので譲渡できません」って言われてしまって……。その子たちはどうなるのか聞いたら、「即日殺処分にしてしまいます」と言われました。

無理を言って何とか全員を引き取れましたが、その時に出会った「菊蔵くん(当時10歳くらい)」という子が、今でも忘れられません。

▲画像引用:菊蔵くん 公式ブログ「もりねこライフ」より

里親が見つかるわけないって言われた菊蔵くんでしたが、10歳くらいの女の子が「この子がいい!」って選んでくださって。ご家族の方にも「猫エイズっていう病気で10歳なので、長くは生きられないかもしれません」というお話をしてご理解いただいて、譲渡いたしました。

この経験がきっかけで現在のキャリアルームを作りました。病気でも諦めずに譲渡できる!っていうのを始めたばかりの時に経験できたので、「どんな子でも諦めないでお家を探すことができる!」そう考えながら活動しています。

▲画像引用:里親さんのおうちでまったりな菊蔵くん 公式ブログ「もりねこライフ」より

Q.譲渡が決まった時の率直な思いを教えてください。

嬉しい!っていうのが第一ですね。

やっぱり寂しい気持ちもありますけれども、ここにいるより幸せになれる、それが確信できる方に譲渡してますので、よかったなっていう気持ちでいっぱいです。

 

◎盛岡市から広がる保護ねこ活動の“輪”

Q.盛岡市内での”連携”について教えてください。

▲画像引用:公式ブログ「もりねこライフ」より

盛岡保健所ともりねこが連携し、「盛岡ニャンとも幸せプロジェクト」として一緒に活動をしています。

まず保健所に保護された猫ちゃんの預かり先について、保健所ともりねこが協働で預かりボランティアさんを募集しています。その方々の物資や医療費をもりねこで助成する仕組みになっています。

「盛岡ニャンとも幸せプロジェクト」の詳細はこちら

Q.お子様による“キッズサポーター”も募集されていますね!

▲画像引用:公式ブログ「もりねこライフ」より

はい。特に土日は、たくさんのお子さんがお店に来てくれますし、それがきっかけで猫ちゃんをお迎えしていただく、ということも多いですね。

なので、まずはお子さんに保護ねこ活動に興味を持ってもらい、小さい時から問題に触れていただきたくて。

子どもにも分かりやすいところから、まずは知って欲しい!ということで、将来への啓発的な意味を込めて「キッズサポーター」の取り組みを始めました。

お子さんは募金活動や譲渡会のチラシ配りなどを楽しみながら一緒にやってくれるので、お子さん同士のコミュニケーションのきっかけにもなってますね。

新型コロナウイルスの影響で、2020年からはあまり活動ができていませんが、子どもたちの将来が楽しみです!

Q.クラウドファンディングにも挑戦されていますが、ぜひ詳しい経緯を教えてください。

▲画像引用:READYFOR「老病ねこたちが最後まで安心して過ごせるおうちを作ります」より

はい、『しっぽのおうち』という老病猫のケアホームの設立・運営資金の部分をクラウドファンディングで集めています(2021年8月8日で募集終了)。

“盛岡市 殺処分ゼロ”という目標は達成しましたが、これは病気の子や歳をとった子、なかなか保健所で声がかからなくて殺処分となっていた子をもりねこで引き取るようになったからなんです。

もりねこにそういった猫たちが増えてしまい、一時期は病院のようになってしまったことがあって。保護ねこカフェを運営しながらの介護ではどうしても手が足らず、ケアに時間をかけてあげられないのが辛いなって思いがあって。

それがきっかけで専用のホームを作りたいっていう話し合いを3年くらい前から進めていました。

Q.クラウドファウンディングをやってみて周りの反応はどうですか?

おかげさまで想像を超えるご支援をいただき、無事にゴール達成できました。本当に皆さん応援してくださって、ありがたい!って思いでいっぱいです。

クラウドファンディングに関する詳細はこちら

 

◎「発信」へのこだわり・伝えることの大切さ

Q.SNS発信で大切にしていることは?

1人ひとりが問題について考えてもらえるような書き方を心がけています。

「これがいい」「これがダメ」って断定するのではなく、なにか問題が起こったらまずお伝えし、1人ひとりが「もし自分だったらどうしよう」と考えてもらえるきっかけになってほしいと思っています。

Q.意見を押し付けるだけではなく、問いかける投稿を意識されているんですね!

はい、そうですね。

「これはやっちゃいけないのかな?」って思いながら、どうしようもなく行動してしまう事って、中にはあると思います。でも、それをダメって断定して書いてしまうと、すごく傷つく方も多いと思うので。

そこで「あーもう無理」ってなってしまうんじゃなくて、「じゃあこういうことを変えてみようかな」って思う、行動を変えてもらうきっかけになれば良いかなっていうのを意識しています。

Q.各SNSによって投稿内容や雰囲気がちがう気がしますが、何か特別な取り組みをされていますか?

Twitterやブログなど、それぞれ担当スタッフが違います。

SNSによってアプローチの仕方が異なるというか、「こっちの方が効果ある」という特徴があると思うんです。そういった特性を担当それぞれが考えながら投稿した方が効率がいいかな、と。

それぞれの個性も出たりするので、どのSNSを見ても同じではない、猫たちの表情や雰囲気を楽しんでいただけると良いなと思っています。

◎『もりねこ』の皆さんからメッセージ

Q.最後に、保護猫活動家の方や読者の皆様へ向けて、メッセージをお願いいたします。

こういった(保護猫)活動は、支えてくださる皆様があって成り立つものだなって、今までやってきて実感しています。

『皆さんの応援が猫を幸せにする力になっている』というのを感じながら、そんな皆様の気持ちの代理というか、“やらせてもらっている”という意識で、もりねこのスタッフみんな活動しています。

皆様に信じていただけてるということを誇りに思いながら、これからも頑張っていきたいと思ってます。

Q.ちなみに『推し猫グランプリ2022』にはご参加いただけますか?

次もぜひ頑張りたいと思いますので、応援いただけたら嬉しいなと思っております。

 

◎保護ねこカフェもりねこ様インタビューまとめ

インタビュー中、終始にこやかにお話してくださいましたが、言葉のひとつひとつから、保護猫活動への熱意と愛情が伝わってきました。

クラウドファンディングなど通じ、盛岡市から全国の人を巻き込みながら保護ねこ活動に尽力する、もりねこの皆さん。

目の前の小さな命と向き合いながら、将来につながる様々なご活躍から目が離せません。

取材・文/南マイコ

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