『推し猫グランプリ2021』猫カフェ部門で第5位に入賞した『保護猫カフェ あすなろ』さん。
オーナーの新田さんは、小学生のときに行き場を失った犬猫が殺処分されることを知り、その時に感じた心の引っかかりを原動力に、現在の保護猫カフェ運営をスタートされたそうです。
そこでこの度、代表を務める新田さんに、保護猫活動に至ったいきさつや動物の命の重み、現在のご活動などについてインタビューさせていただきました!
◎『カフェ&保護ねこカフェあすなろ』とは?基本情報・略歴
・運営:一般社団法人 あすなろ共生会
・代表:新田 彩貴(にった あき)さん
・2018年2月、行き場のない猫たちのための「あすなろシェルター」を兵庫県神戸市に開設。
・2020年3月「Café Asunaro」「保護猫カフェあすなろ」としてリニューアルオープン。
◎「推し猫グランプリ2021」第5位入賞!
Q.『推し猫グランプリ2021』第5位入賞おめでとうございます! 入賞を知った時のお気持ちや周囲の方の反応はいかがでしたか?
とにかく「おめでとう」のお祝いメッセージがすごかったです!
LINEやスマホが鳴りっぱなしでした。私はちょうど発表の時に電波の届かない所にいたので、友人やお客さまからの連絡で受賞を知りました。
20位以内に入れたらと思っていたので、5位入賞にびっくり! うれしすぎて、入賞の垂れ幕を作ろうとしてスタッフに全力で止めらました(笑)
結局、先着1名様限定での『くす玉割り』でお祝いをしましたね。
■第5位入賞となった当グランプリ結果発表ページには、数多くの応援コメントが溢れています。
みんな可愛い猫ちゃんばかり、猫の幸せを一番に考え、愛している店長、スタッフ様大好きです。どんな事があっても力になりたいと思います。優しいけど、ブレない強い心を持っているあすなろさん!頑張って~。
すごい心優しい裏表のない店主様の猫への愛をいつも感じてます!!
いつも美味しい食事とかわいい猫さんたちに思う存分癒してもらっています。ありがとうございます。疲れた時には猫さんが一番なので、いまや私の健康維持にかかせない場所になっております。これからもどうぞよろしくお願いします♪
◎『保護猫カフェあすなろ』として保護猫活動を始めたきっかけ・熱意
Q.そもそも保護猫活動を行うようになったのはどうしてですか?
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最初のきっかけは私が小学3年のときの体験です。行き場を失った犬や猫が保健所に連れて行かれ、その後、殺処分されている事実を初めて知りました。
あまりにも衝撃的で、泣きながら「1匹だけでも助けてほしい」と懇願したこともありましたが、どうすることもできず……。
やがて私も結婚して子どもが生まれた時に、住んでいるマンションで野良猫問題が起きました。それからしばらくして「皆さんに迷惑をかけていた母猫と子猫4匹は保健所に引き取ってもらいました」と、住民あてのお知らせに書かれていたんです。猫を保健所に渡すことが、さも当たり前のように書かれていることにとても疑問を持ちましたね。
その後、またマンションで子猫が7匹生まれて。このままでは同じことが繰り返される。そう強く感じ、親猫は不妊手術をしたうえで「地域猫として残してほしい」と自治会に頼み込みました。子猫7匹はわが家で引き取り、何十万もかけて猫風邪を治し、親戚の協力を得ながら里親探しをしました。
きっと子どものときの体験があったから、見て見ぬふりをする大人にはなりたくなかったし、子どもにそんな姿を見せたくなかったんだと思います。地域猫活動に取り組むようになったのもその時ですね。
Q.保護猫のシェルターから現在のカフェ&保護ねこカフェへリニューアルされましたが、きっかけは?
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まだシェルターを開設する前ですが、当時所属していたボランティア団体で多頭飼育崩壊の現場を目の当たりにして。そこから、飼い主が病気になって飼えなくなってしまった猫や、地域猫として生きていくには厳しい野良猫などの居場所を作ろうと、2018年2月に「あすなろシェルター」を開設しました。
2年ほど運営するの中で、ありがたいことにスポンサーになってくださる方もいましたが、どうしても固定費だけで月30万以上かかってしまうんですね。本当に運営が厳しくて。それで、思い切って夫に相談したら「保護猫カフェをしてみたら」と勧めてくれまして。
2020年3月に「保護猫カフェ あすなろ」をオープンしました。ただ、残念なことにコロナ禍のタイミングに重なってしまって……。だからこそ、5位入賞はすごくうれしかったです!!
お客様が押し上げてくださった5位という結果なので、そこが本当に嬉しかったですね!
◎保護猫活動を通して『命の大切さ』を伝えることの意義
Q.保護猫カフェについて、お子さまたちはどんな反応ですか?
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今のところ、まったく興味ないですね(笑)
犬や猫たちに興味をもってほしいんですけど、生まれた時から犬猫がいるのが当たり前の環境で育っているので。
ただ、友だちや先生には「お母さんは保護猫カフェをしている」と話してくれているようです。もう少し大きくなれば、カフェの理念や活動の意義を理解してくれると期待しています。獣医になってくれたらうれしいな(笑)
Q.子どものころから、命の大切さを伝えることは大事ですね。
そうなんです。動物の命について教えること、いわゆる『命の教育』は子どもの成長にとって本当に大切だと思ってます。高齢者や障がい者といった社会的弱者にも思いをめぐらせることができるでしょうから。
時間はかかったとしても、やがて未来に大きな花を咲かせ、実をつけると思っています。
動物福祉という点では、日本は外国に遅れています。動物愛護に関する欧米の法律は厳格ですが、社会は動物に対して寛容です。必ずしも日本が外国と同じである必要はないでしょうが、外国に学ぶべき点は多いと思います。
◎保護猫カフェを運営する中で感じるリアルな気持ち
Q.保護猫と日々触れ合う中でどんなときに幸せを感じますか?
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やはり譲渡が決まった時ですね。猫もホッとしたのが伝わるんです。猫たちの表情がものすごく幸せそうで、たった写真1枚だけでも分かるくらい表情が穏やかになるんです。自分だけの家族を得て本当に安心しきった顔をみると、心の底から嬉しくなりますね。
1か月のトライアルを終え、正式譲渡の時に私たちが譲渡先を訪ねると、猫は私たちを見ても知らんぷり。愛情もって世話をしてきた立場としてはさみしいですが、猫の苦労が報われてよかったと心底思います。猫も猫なりに大変な思いをして生きてきたので。
Q.反対に大変だなあ、しんどいなあと思うことありますか?
私自身は子どもがまだ小さいので、家庭とのバランスは大変ではありますね。保護猫活動はボランティアの要素が多いので、定休日を設けていても猫たちのために動き回ることが多いです。
保護した瞬間から、命に対する責任が伴うので、猫の具合が悪ければすぐに病院に連れて行きます。猫たちも人間と同じで「痛い、しんどい」なんてイヤじゃないですか。
早期治療であればそれだけ負担も少なくなりますので。家族の理解を支えに、スタッフとボランティアさんと、みんなで一丸となって頑張っています。
Q.保護猫さんとの印象深いエピソードを教えてください。
「もんちゃん」という体の大きな黒猫が思い出されますね。もんちゃんがここに来た頃は、スタッフの手を噛みまくる荒くれ者でした(笑)
少しずつ穏やかにはなりましたが、血気は盛んでほかの猫とすぐにけんかをしてしまう子でした。
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そんなもんちゃんが、譲渡会で素敵なご夫婦に出会ったんです。会場には、もんちゃん以外はみんな可愛い子猫ばかり。そんな中で、ご夫婦はいろいろな猫を見て保護主さんと話をしては、何度も2人で相談をしていました。真剣に家族を迎えようとしているのがよく分かったので、もんちゃんの里親になってほしいと思って、私も一生懸命アプローチしました。
ここに来る前、もんちゃんは飼い猫でした。飼い主さんが引っ越し先にもんちゃんを連れて行けなくなったんです。里親探しはするものの、譲渡先が見つからなくて、もんちゃんを保健所に引き取ってもらうしかない、という話まで出たとか。そこで私のところに相談が来て、カフェで預かることになったのです。
もんちゃんの苦労を知っていたので、そのご夫婦に「もんちゃんを迎えたい」と言われたときは、泣きながら「ありがとうございます。よろしくお願いします」と頭を下げました。譲渡会ではどうしても、成猫より子猫の引き取りが多くなります。そんな中で、大きな大きなもんちゃんをお迎えしてくださって、あの時の喜びは忘れられませんね。
新しい家族の下で暮らすもんちゃんの写真を見ると、表情がとてもキラキラしています。まるで「僕、最初からここに住んでいましたよ」と言わんばかりで(笑) そんなもんちゃんを見ると、私たちも元気をもらいますね。
◎『カフェ&保護ねこカフェあすなろ』の皆さんからメッセージ
Q.最後に、ファンの皆さんや読者にメッセージをお願いします。
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グランプリで5位を受賞できたのは、皆さんが私たちを押し上げてくださったおかげです。本当にありがとうございました。これをきっかけに保護猫活動への理解が深まってくれることを願っています。
もしかしたら、保護猫のために何をしたらよいか分からないという方がいるかもしれません。保護猫を家庭に迎えたり、保護猫カフェに行ったり、そこで売られているグッズを買ったりする以外にも支援の方法はあると思うので、自分のできることから始めていただけるとうれしいです。
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Q.今日はありがとうございました。ちなみに『推し猫グランプリ2022』にはご参加いただけますか?
はい。来年こそはグランプリを取って、お祝いにでっかい垂れ幕を作りたいです(笑)
◎カフェ&保護ねこカフェあすなろ様インタビューまとめ
保護猫カフェの運営のほか、地域猫活動も行う新田さん。SNSには、読者に飼い主としての覚悟を促したり、世話をしていた地域猫の死を悼んだりするメッセージも。そこには、一つ一つの命に真剣に向き合う新田さんの姿が投影されています。私たちも、猫も犬も共に暮らせる明日のために、一歩を踏み出していきたいと思います。
取材担当/南マイコ