譲渡型保護ねこカフェ ねこの木「保護猫たちのために、カフェを継続させることがなにより大切」|推し猫グランプリ2025特別インタビュー

大阪にある『譲渡型保護猫カフェ ねこの木』さんが、なんと2年連続でグランプリを受賞されました!

3年前(2022年)のコロナ禍にも取材をさせていただきましたが、あれから何か変化はあったのでしょうか。

オーナーの長谷川様にお話を伺ったところ、カフェの変化だけでなく、カフェ運営や保護猫活動が抱える厳しい現実についても、率直にお聞かせくださいました。

保護猫活動の一例として、その取り組みを紹介させていただきます。

前回受賞時のインタビュー記事

◎『譲渡型保護ねこカフェ ねこの木』とは?基本情報

大阪市淀川区十三にある保護猫カフェ兼シェルター
・ホームページ:https://nekono-ki.com/
・Instagram: https://www.instagram.com/nekonoki5625/
・Twitter:https://twitter.com/nekono_ki
・Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100024313307357

  

◎『推し猫グランプリ2025』グランプリ!

Q.2024年に引き続き、『推し猫グランプリ2025』グランプリ2年連続受賞おめでとうございます!受賞を知った時のお気持ちを教えてください。

まさか今年もグランプリをいただけるとは思っていなかったです。僕の力で受賞できたわけではないので、投票してくださったみなさんに感謝です。

正直に言うと僕はエントリーを忘れていまして、協会さんから連絡いただいてエントリーできました。グランプリ受賞も、里親さんからの「おめでとう」というラインで知りました。(笑) 

恐らくなのですが、里親さんたちが協力してくれているんです。うちから毎年140~150頭の猫ちゃんが卒業していて、そのたくさんの里親さんたちが投票と拡散をしてくださっているのだと思います。

譲渡後も『ねこの木』を気にかけてくださってくれている方が多く、とても有難いことです。

◎『譲渡型保護ねこカフェ ねこの木』の変わらない活動

Q.前回の取材(2022年12月)から3年経過しました。カフェの運営や、保護数・譲渡数などに変化はありましたか?

保護猫カフェが全国的に増えているためか、売り上げは少しずつ減っているのが現状です。いずれは淘汰されていくだろうなと思うので、いまは耐える時期だと考えています。

保護数については、うちはNPO法人として大阪市に登録をしていて、動物管理センターで保護できる頭数が決められています。保護団体が無数にレスキューを行い、崩壊するのを防ぐためです。

その上限頭数を意識しながら活動しているので、以前と変わらず、常時60頭くらいの猫ちゃんを抱えています。

譲渡数も変わっておらず、ありがたいことに毎月10頭前後、年間140~150頭の譲渡を続けられています。

Q.前回の取材で横のつながりを増やしていきたいとおっしゃっていましたが、変化はありましたか?

協力店が1店舗増えました。でも事情があって閉店せざるを得ないカフェもあり、なかなか増えない状態です。

通常の猫カフェと違い、保護猫カフェはなかなか収支が取れないのでしょうがないですね。重篤な子も多く、医療費がかかります。猫ちゃんたちのケアのために、人件費も通常以上に必要です。

保護猫カフェは、はじめるのは簡単ですが、続けるのが難しいんですよね。

 

◎時代の流れに沿って変わる保護猫を取り巻く環境

Q.長年、推し猫グランプリの上位をキープしている「ねこの木」さんの目からみて、保護猫を取り巻く環境に変化は感じますか?

“動物に優しい世の中”になりつつあると感じています。

里親希望の方の中にも、「お迎えするなら保護犬・保護猫を」と考える方が増えてきました。

また、事故にあって動けなくなっている子がいると、声をかけていただくこともあります。そういった連絡は、そこで命を落としてしまうかもしれなかった子を救えることもあり、ありがたく感じています。

ただ、少し優しさが足りないかな、とも思っています。

Q.保護猫・野良猫に視線を向ける方が増えていると感じるのですね。少し優しさが足りないとは、どういうことでしょうか?

はい、保護猫に対する皆さんの意識や関心が高まっていることは、確かに実感しています。

ただ、「野良猫ちゃんがかわいそう」などの“気持ち”だけで終わってしまっているんですよね。風邪をひいていたらどうするのか、ケガをしていたらどう対処するのか、そういった“行動”までは知らない、できていない人が多いのかなと思うことがあります。

本当の優しさではないというか、まだまだ表面的な優しさにとどまっているのかな、とも感じます。

僕が欲張りなのかもしれないですね。(笑)

もちろん、これからまたどんどん変わっていくとは思っています。

   

◎保護猫を救い続けるため、カフェ継続のさまざまな試案

Q.今後の目標や活動ビジョンはありますか?

いま、『認定NPO法人』の申請をしています。

現状は通常のNPO法人ですが、認定NPO法人になれば、寄付者の方に税制優遇が適用されます。寄付をしてくれた人にもメリットが生まれる仕組みです。

もし認定を受けることができれば、僕から企業さんに、支援のお願いを積極的にアプローチすることができるようになります。

さきほどもお話しましたが、保護猫カフェの運営には多くの費用がかかります。ねこの木はオープンから10年間、ずっと赤字続きです。

企業さんからある程度のご寄付をいただけるようになれば、少しでも経営の負担を減らすことができます。

保護猫たちのために、カフェを継続させることがなにより大切です。通るかわかりませんが、認定NPOの申請が、いま取り組んでいることのひとつです。

また、システムの見直しについても検討しています。

根本的なシステムを大きく変えるつもりはありませんが、“譲渡に関する基準”や“集客方法”、“レスキューの仕方”など、少しずつ考え直そうと思っています。カフェを続けていくために、検討が必要だと感じています。

Q.保護猫を救うためにカフェを継続させようと、様々なことを検討されているのですね。その中で、“レスキューの仕方を見直す”とは、具体的にどういうことでしょうか?

もちろん、受け入れる猫ちゃんの基準を変えることはありません。うちはミックスであろうと、ペットショップのブランドの子であろうと受け入れますし、0歳の奇形のある子でも、10歳の成猫でも同じです。年齢や背景によって線引きをすることはありません。

見直したいと考えているのは、繁殖場に関わるレスキューです。

これまでは、繁殖場が新しく開業したものの、頭数が増えすぎて困っているケースなどもレスキューしてきました。ただ、そういった業者さんは、時間が経つと再び繁殖を始めてしまうことが多いんですよね。

最近は、『廃業』を約束していただいた場合に限り、レスキューを行うようにしています。これ以上、無理な繁殖をさせないことが条件です。

乱繁殖によって奇形の子が生まれてしまった、繁殖場そのものが崩壊してしまったなどの案件も受けることがあります。それらを防いでいかないと、僕らがやっている意味がありません。

生体販売そのものを縮小していってほしいという想いがあるので、そういった根本的原因を閉めていきたいなと考えています。

そのために、『繁殖場からの受け入れ案件は廃業を条件にすること』を、今後はより厳格化させていきたいと思っています。

Q.やはりつらい現場も多いのですね。活動を続ける中で、心が折れそうになることはありませんか?

廃業すると聞いてレスキューに行ったら、ひどい状態の子や、虫の息の子がたくさんいることもあり、それを見ると心はすごく痛いですね。しょっちゅうへこんでいますよ、僕も。

でも楽しみにしてる方が多いから、闇の部分はあまりみなさんに見せたくはないですよね。聞かれたら話す程度に控えています。

  

◎『譲渡型保護ねこカフェ ねこの木』さんからメッセージ

Q.応援してくださる皆様へ向けて、メッセージをお願いいたします。

皆様のお力があって、うちのお店は継続できています。今後ともよろしくお願い致します。

寄付ももちろんありがたいですが、ご来店いただいて猫ちゃんたちと触れ合っていただくことが、僕は一番嬉しいです。それが保護猫を救う近道でもあります。

お時間があるときで構いませんので、ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです。

猫ちゃんとの距離が近く、ちまたでは『ニャバクラ』と呼ばれているくらいなので、楽しんでいただけると思います。(笑)

Q.第7回『推し猫グランプリ2026』もご参加いただけますか?

はい。ここまで来たら殿堂入りして『推し猫グランプリ』を引退したいなと考えているので、がんばります!

(※推し猫グランプリでは大賞を三回受賞されると『殿堂入り』として認定されます)

  

◎『譲渡型保護ねこカフェ ねこの木』さんインタビューまとめ

長谷川さんは、今回も明るく温かいお声で、包み隠さず丁寧にお話くださいました。

3年前の取材から状況は大きく変わっていないものの、保護猫カフェの運営が決して簡単ではないことを、改めて教えていただきました。

また長谷川さんは「生体販売そのものを縮小していってほしい」と遠慮がちにおっしゃいましたが、実はそれは、猫を救うために必要な根本的な改善案のひとつでもあります。

本当に“動物に優しい世の中”に変わるためには、そういった保護の現状や実情を、より多くの人が知る必要があるのではないでしょうか。

今回お話くださったこの貴重なお話が、ひとりでも多くの方に届くことを祈ります。

   

長谷川さんは前回の取材から変わらず、「地に足をつけてひたすら愛情を注ぐのみ」という姿勢を貫いていらっしゃいます。

保護猫たちのことを「猫ちゃん」と呼ぶ優しいお声に、深い愛を感じずにはいられませんでした。

取材/文:大久保ユカコ

 

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