『推し猫グランプリ2021』猫カフェ部門で見事、第4位に入賞された「キャットラウンジ 猫の館ME」さん。
保護猫活動団体には珍しく、株式会社の形態で保護猫カフェの運営をはじめ、さまざまな事業を展開されています。
そこで本記事では、代表の小倉則子さんに、保護猫活動にかける熱い思いや、ビジネス感覚を生かした保護猫カフェの運営についてたっぷり伺いました!
◎『キャットラウンジ 猫の館ME』とは?基本情報・略歴
・運営:ガッテリア株式会社
・代表取締役 小倉則子さん
・2013年 千葉県浦安市に千葉県初の里親募集型猫カフェ「キャットラウンジ 猫の館 ME」をオープン
・2016年 「猫を売らない猫のお店」(生体販売をしない猫専門ショップ)としてリニューアルオープン
・保護猫カフェとキャットシッター業務を主軸に、猫用品や猫雑貨のセレクトショップや各種イベント開催など、多数事業を展開中
・公式YouTubeチャンネルは登録者数800人以上(2021年11月時点)
今回は代表取締役である小倉さんに、「猫を売らない猫のお店」をキャッチコピーとするご活動についてインタビューしました!
▲インタビューにご協力いただいた 代表取締役:小倉則子さん
◎「推し猫グランプリ2021」第4位入賞!
Q.『推し猫グランプリ2021』第4位入賞おめでとうございます! 入賞を知った時のお気持ちや周囲の方の反応はいかがでしたか?
https://twitter.com/MEstaff0422/status/1404714157832687617
うれしかったのと同時に驚きました。ノミネートも多かったですからね。
常連さんたちはグランプリ受賞を期待していたみたいで、すごく悔しがってくれました(笑)。私以上に推し猫グランプリに熱くなって、楽しんでくれました!
Q.熱いファンの皆さんに愛されているんですね!
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はい、ゲーム感覚で盛り上がってくれたみたいで、結構楽しんで参加してくださいました!
「投票しました!」って連絡をくださった方もいて、とても嬉しかったです。
オープンから9年目を迎えているので、里親さんやリピーターさんがとても多いんです。なので、家族ぐるみで熱くなったような、そんな楽しい時間を過ごせました!
■第4位入賞となった当グランプリ結果発表ページには、数多くの応援コメントが溢れています。
ここから、私たちは素敵な家族を迎えました。私達にとっては実家と同じような大切な場所です。これからも、ここから素敵な家族が増えますように願っています。
私の愛おしくてたまらない猫たちとの出会いの場を与えてくれたのが猫の館MEでした。里親となった後もいろいろ相談にのっていただいたり、実家のような暖かい猫カフェです。猫の館MEから一頭でも多くの猫が幸せな自分だけのおうちを見つけられるように応援していきます。
なかなか遊びに行けない世の中ですが、通販等でお世話になっています!いつも丁寧な対応をしてくださり、商品も信頼できるものばかりでとても安心してお買い物ができます。これからも陰ながら応援させていただきます!
◎“キャットラウンジ”として保護猫活動をはじめたきっかけ・熱意
Q.里親募集型猫カフェ『キャットラウンジ 猫の館ME』を開くまでの経緯を教えてください。
今の活動を始める前は、ずっと外資系企業に勤めていました。その時に大病を患って長期間休養することになってしまい、譲渡会で2匹の保護猫を迎えたのがきっかけです。
その後、飼い主の留守中に猫の世話をするキャットシッターに興味を持ち、資格を取りました。2011年にキャットシッターとして事業を開始する時には、もう「保護猫カフェを開設したい!」と考えていましたね。
でも、当時はまだ”保護猫カフェ”という言葉が社会に認知されていなかった時代で。入居したい物件があっても、動物がいるというだけで大家さんから断られ……。
そんな苦しい経験を経て、2年後の2013年浦安市堀江に、念願の里親募集型保護猫カフェ『キャットラウンジ 猫の館ME』をオープンしました。
Q.成猫に特化した保護猫カフェにしたのはなぜですか?
▲画像引用:Twitter 猫の館ME ヒトスタッフより
保護猫活動をされている方のお宅を訪ねた時に、里親が見つからないまま大人になった猫がいたんです。
成猫は里親が見つからず、譲渡がなかなか進まない話を聞いて、とても切なくなりました……。と同時に、「そんな大人の猫たちにもチャンスを与えたい!」と思ったんです。
他にもたくさんの保護猫がお宅にいて、その方たちの負担を減らしてあげたい気持ちもありました。
Q.譲渡が難しいといわれる成猫を預かることに迷いはなかったのですか?
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キャットシッターとして、いろいろなご家庭に伺って猫の世話をする立場の私が、保護猫と関わっていいのだろうかと悩みもしました。
もし保護した猫が何かの病気を持っていたら、私を介してお客様の大切な猫に病気を移してしまうのではないか、と。
「どうすればキャットシッターを続けながら、保護猫カフェができるのか。」
いろいろ考えた末に、エイズや白血病の検査、ワクチン接種などの医療行為を済ませた、大人の保護猫を預かればいいことに気づきました。
また、成猫なら、猫を飼いたいシニア層にもマッチングしやすいメリットもあります。シニアの方は、猫を飼いたくても、高齢を理由に譲渡を断られるケースがあるんです。特に子猫の場合は、シニア層への譲渡は難しいケースが多いですね。
でも成猫は、動き回る子猫と違って落ち着きがあり、性格もできあがっているので、シニアでも飼いやすい。勝算はあると思いました。
◎リニューアルにかけた思い
Q.2016年にリニューアルされていますが、どのような効果がありましたか?
2016年に、2階にあった店舗を1階へ拡大移転しました。
現在は、1階入ってすぐに猫用品や猫雑貨を扱うセレクトショップがあり、その奥のキャットルームで、ボランティアの保護主さんから預かった猫たちが元気に暮らしています。2階にはイベントなどができるセミナールームがあります。
リニューアルを行ったことで、通販も含めた「物販(猫グッズ)」の売り上げが全体の約7割を占めるようになりました。
たくさんの猫グッズを売り出しつつ、「猫だけは売っていない」というコンセプトを全面に打ち出したリニューアルは大成功!
買い物に来られた方が猫と触れ合うことが多くなりましたし、猫を飼ったことがない方にも、猫と共にある暮らしがどんなものなのかを知ってもらう良い機会になっています。
Q.リニューアルの際に意識されたことはありますか?
「猫を売らない猫の店」として、生体販売以外の「物販」を打ち出しました。
それまでの多くの保護猫カフェでは、スペースの一角で細々と物販を行っている感じ。その点をガラッと変え、「生体販売をしない猫専門のペットショップ」が保護猫カフェを運営するスタンスへ。発想を逆転しました。
保護猫カフェよりもペットグッズのショップ感を大きく打ち出したので、他のペットショップから見たら、ケンカを売られたようなものですよね(笑)。
◎「発信」や「伝えること」へのこだわり
Q.ブログが猫カフェ部門の上位に常にランキングされるなど、情報発信にも力を入れておられますね。
ブログでも、インスタグラムやFacebookなどのSNSでも、見てくださる方に喜んでもらえるように心がけています。特にYouTubeは、観た人がハッピーな気分になれるように!という点を特に意識していますね。
例えば、「ネコスタッフ(保護猫)の相関図」という動画では、スタッフが猫たちの様子を細かく観察して、どの猫とどの猫が家族で、どの猫とどの猫の仲がいい、などと紹介していて人気があります。
また、猫たちの1日に密着する動画では、猫じゃらしで遊んだり、追いかけっこをしたりする様子を「運動会」と称して公開していて、観ているだけでもとっても楽しいですよ!
YouTubeチャンネルでの収益も、保護ねこカフェの運営に還元していきたいので、ぜひたくさんの人に観て、楽しんでほしいです。
◎保護猫カフェの運営面で工夫していること
Q.運営面ではご苦労もあると思います。その中でも工夫していることは何でしょうか?
現実的な話になりますが、やはり運営にはコストがかかります。ご飯、トイレ砂、避妊・去勢手術……。
これらの費用をどう賄っていくか。スタッフみんなで、「お金はないが知恵はある=知恵を絞って企画で乗り越えていこう」を合言葉に皆でアイデアを出し合っています!
例えば、猫が好きで里親になりたいけれど、家の事情で里親になれない方もいますよね。
そういう方には、お気に入りの保護猫を指定していただいて、里親が決まるまでの間の養育費を、保護主さんに代わって受け持ってもらう制度を設けています。
保護主さんの中には、自分のところでたくさんの保護猫の世話をしている方もいます。
こうした仕組みをいくつも作ることで、私たちの経費の一部を賄うだけでなく、保護主さんの負担の軽減につなげるのも目的です。
また、SNSは物販を意識した発信をしています。まず猫の写真を登場させて、その後に画面に映る商品にフォーカスしてその商品の説明を行う。
これを1日5回行うことをルール化しています。これ、結構大変ですが、多くの人に猫たちと、猫グッズの魅力を知ってもらうために日々がんばっています。
画像引用:公式Instagramスクリーンショット
◎多岐にわたる事業を展開する上で大切にしていること
Q.キャットシッターや猫専門シャンプーなど、多岐にわたった事業を展開されています。スタッフの皆さんが大切にされていることを教えてください。
画像引用:「キャットラウンジ猫の館ME」公式HP
なぜ保護猫活動を行うのか、その共通認識を持つことです。私たちは、
- 「人と猫との対等な関係を築き、双方がハッピーな暮らしを送る手伝いをすること」
- 「猫さんの公民館として、さまざまな活動を行うことで地域に貢献すること」
- 「これらの活動により私たち自身も成長を続けること」
この3つをミッションに掲げています。
スタッフが入社する際には、3時間かけてミッションについて解説するので、みんなに浸透しているんです。
だから、少しでもここから外れるようなことがあれば、代表の私でさえスタッフから正されます(笑)
Q.だからこそ、ぶれない運営が実現できるんですね。ところで、株式会社という形態で運営されているのはなぜですか?
なるべく寄付に頼らない方法で、持続可能な保護猫カフェ運営のモデルケースを作りたいと思ったからです。
外資系時代に培ったセールスマーケティングの知識や経験を生かせば可能ではないかと。
保護猫活動をされている方々の中では、ちょっと変わった存在かもしれませんが、思いは皆さんと同じです。
◎『キャットラウンジ 猫の館ME』の皆さんからメッセージ
Q.保護猫活動家の方や読者の皆様へ向けてメッセージをお願いします。
おかげさまで『キャットラウンジ 猫の館ME』は9年目を迎えることができました!
里親さんもずいぶん増え、ここを実家のように大切に思ってくださり、心から感謝しています。猫たちを思うお客様の温かい言葉に背中を押される毎日です。
全国に保護猫を迎える文化を根付かせたいと思って、さまざまなことにチャレンジしてきました。
これからも、私たちならではの企画でいろいろ仕掛けていきますので、ぜひ楽しみにしていてください!
Q.最後に、小倉さんにとって猫はどんな存在なのでしょうか?
触れた時のモフモフとした感覚や温もりから、癒しや生きる活力をもらっています。
それは、お金では決して買うことのできない幸せ。多くの人にこの幸せを感じてほしいですね。
Q.今日はありがとうございました。ちなみに『推し猫グランプリ2022』にはご参加いただけますか?
もちろんです。次回はお客様のためにグランプリを狙います(笑)。
◎キャットラウンジ 猫の館ME様インタビューまとめ
綿密に練られた事業計画の上に、スタッフ皆さんの知恵が結集され、『キャットラウンジ 猫の館ME』が運営されていることを、取材を通して知りました。
お話の内容も、保護猫カフェ運営のヒントになるものばかり。「保護猫を迎える文化を根付かせたい」という力強い言葉に胸が熱くなりました。
バイタリティーあふれる小倉さんの挑戦は留まることを知らず!
なんと、『2022年2月22日(ニャンニャンニャンの日)、猫実(ねこざね)へのリニューアル移転』に向けたクラウドファンディングに挑戦されることが発表されました!!(2021年11月時点)
どんどん新しいチャレンジをされる『キャットラウンジ 猫の館ME』から目が離せませんね!
取材担当/南マイコ