猫カフェ柚の家「小さな命に目を向けて」|推し猫グランプリ上位入賞者インタビュー

『推し猫グランプリ2020』猫カフェ部門で見事に9位入賞された「猫カフェ柚の家」さん。

秋田県内では唯一の保護猫カフェであり、県内の保護猫活動の中心的存在としてマルチに活動をされています。

今回は「猫カフェ柚の家」を運営する伊藤さんに、保護猫活動をスタートしたきっかけや想い、譲渡活動などについてお話を伺いました!

猫カフェ柚の家とは?基本情報・略歴

・2016年5月オープン(公式サイトはこちら
・秋田県由利本荘市の住宅街にある「おうち猫カフェ」
・県内唯一の保護猫カフェとしてマルチに活動中
・常時40~50匹の保護猫ちゃんがお出迎え
・YouTubeチャンネル内での「田植えキタ━(゚∀゚)━!!」動画が大人気
・公式Facebook:猫カフェ柚の家
・公式ツイッター:猫カフェ柚の家

◎推し猫グランプリ受賞について

Q.『推し猫グランプリ2020』9位入賞おめでとうございます! 受賞を知った時のお気持ちや周囲の方の反応はいかがでしたか?

▲画像引用:公式Facebookページより

ご連絡いただいた時に、正直入賞できると思っていなかったので。そもそも(エントリー期間中に)推薦があったと聞いた時にも、「誰が推薦してくれたの?」とびっくりしました!

そんな風に応募してくれて、応援してくれた人がたくさんいたことに、本当に感謝しかないという感じです。

一応Twitterやフェイスブックで告知はしていましたが、常連さんが「入れたよ」「猫しもべ検定も受けたよ」という方もいて、びっくりしましたし、感謝感謝です!

 

■9位入賞となった当グランプリ結果発表ページには、数多くの応援コメントが溢れています。

ここの猫ちゃんたちは本当に人懐っこくて、たくさんの子たちが寄ってきてくれます。今まで行ったお店では店員さんにしか反応しない猫ちゃんが多かったので、本当に感動しました。猫まみれになりたい方には本当にオススメの猫カフェです♪

今まで色んな猫カフェに行きましたが、ここは、にゃんと言っても猫ちゃんたちの接客態度が素晴らしい!コロナ落ち着いたら遊びに行きますね!

地域で保護、里親探しも頑張ってくれる「柚の家」。いつも有難く思っています。これからも陰ながら応援しています。頑張って~!

 

◎猫カフェ柚の家として保護猫活動をはじめたきっかけと想い

Q.保護猫カフェ・保護猫活動を始めたきっかけはなんですか?

▲画像引用:公式Facebookより

もともと猫を2匹飼っていました。が、夏場に網戸から2匹とも脱走してしまって……。

1匹(柚:ユズ♀)は家の裏口にいたのですが、もう1匹(奏:ソウ♂)の姿がなく、チラシを掲示したりしながら必死で探しました。

その中で毎日のように情報提供をいただいて、「奏かな?」と思って見に行くと違う猫、ということが連日続きました。

そこで、ノラ猫ってこんなにもいるの?と感じて。中には風邪を引いている猫もいたのでそのままにはできず、保護するようになったんです。

結果、10匹くらいの保護猫を迎えることになり、「それなら保護猫カフェを始めよう!」と決意したのが始まりですね。

 

Q.決断力と行動力が素晴らしいですね! ちなみに奏くんは見つかったのでしょうか?

はい、見つかりました!

猫カフェをオープンする2か月くらい前に奏が発見されて、戻ってきてくれました!(冒険期間は半年くらい)

「保護猫カフェを運営していれば、もっと奏くんの情報も入ってくるかな?」と思っていたのですが、結果として、奏くんも加わってのカフェオープンとなりました(笑)

 

Q.では、保護した10匹前後の猫たちと、柚ちゃん奏くんがオープニングスタッフさんなんですね!

いえ、実は違うんです(笑)

当時は「猫カフェならもう少し猫がいたほうがいいだろう」と思っていたので、もう10匹ほど、里親を募集している方から引き取ってメンバーに加わりました。

全部で20匹くらいでオープンを迎えましたね。ただ、その時は私の勉強不足で。

保護猫カフェをオープンした後で、「猫を引き取ってもらえませんか?」と連れてこられるとは思っていませんでした。

猫カフェの猫ちゃんは全部自分の飼い猫のつもりでした。

 

Q.では、オープン当時は譲渡活動のご予定はなかったのでしょうか?

はい、まさか譲渡活動をする場所に発展するとは夢にも思っていなかったのが、正直なところです。

ですが、オープン後から“命が危ない”猫ちゃんたちの保護依頼があり、徐々に保護を目的としてお引き受けするようになりました。

そのままどんどんと保護猫の数が増えてしまったので、里親を募集するようになったのが譲渡活動の始まりですね。

 

Q.現在は譲渡活動を積極的にされているんですか?

そうですね、里親はいつも募集しています。

それと同時に、「うちの猫がいなくなったから情報拡散に協力してほしい!」という相談も増えてきて。

今は、何でもあり状態です(笑)

ただ、できることとできないことはあるので。最近では、まず保護主さんご自身に努力してもらうことも促していますね。

 

秋田県で唯一の「保護猫カフェ」

秋田県内での“保護猫”カフェは、柚の家さん1件のみであり、秋田県全域から保護猫の問い合わせを受けているのが現状とのことです。
とても貴重で重要な役割を担っている伊藤さんに、保護猫活動を通じて感じる幸せや大変さについて、さらにお話を伺いました!

 

◎保護猫活動を通じて感じる「幸せ」と「大変さ」

Q.現在のマルチなご活動の中で「幸せに感じる瞬間」はどんな時ですか?

保護をした猫の中には、人間を警戒してしまう猫ちゃんも多いです。中でも、オープン前に保護をした1匹の猫ちゃんが、どうしても心を開いてくれなくて。

そんな猫ちゃんが、ある日ふっと受け入れてくれたというか、頭を撫でさせてくれたのは本当に嬉しかったです!

猫との気持ちが通じる瞬間は、たまらなく幸せですね。

 

Q.反対に、「大変だ」と感じることはありますか?

やっぱり、日々のトイレ掃除と猫たちのケアですね。一番警戒しているのが、猫風邪の蔓延です。

保護した猫が風邪を引いていると、どんなに気を付けていても感染が広がってしまうことがあります。そうなるとカフェも一時的に締めなければならないので……。

なので、感染予防には特に気を配っていますね。

 

Q.現在は運営はお一人でされているんですか?

スタッフは雇っていなくて、すべて私一人で管理運営しています。あとは、ボランティアさんが不定期でお手伝いしてくれていますね。

なので、トイレ掃除だけで毎日3時間以上かかっています。

 

Q.これまでのご活動の中で特に印象に残っていることは何ですか?

交通事故に遭って背骨が折れてしまい、下半身がマヒしてしまった子(あみ)のことは忘れられません。

下半身不随なので、圧迫排尿でトイレも管理してあげなければならなくて。すごく手がかかりました。でも、手がかかるほど可愛くて可愛くて。

子猫が保護されてくると、みんなにおっぱいを吸わせたり、母親のようにケアをしてくれたりもしました。

そんな天使のような子でしたが、2020年の春に虹の橋を渡りました。手がかかった分、本当に思い入れが強くて。

私自身は今後もたくさんの猫たちと触れ合っていくと思います。が、あみのことは絶対に忘れないですね。

 

◎2020年に初めて「譲渡会」を開催

Q.随時、里親を募集されているとのことですが「譲渡会」なども実施されているのですか?

これまでも里親は随時募集していましたが、今年(2020年)に入って初めて譲渡会を開催しました。

譲渡会の開催を告知したら、県内のあちこちから「自分の保護猫たちも譲渡会に参加させてください!」という個人の方からの依頼が相次いで。

「柚の家」にいる子たち以外に、30匹以上を一時預かりしての開催となりました。

 

Q.では、かなり大規模な譲渡会になりましたね!

そうですね。ただ、春の出産ブームで産まれた子猫たちがメインで引き取られていったので。

ずっと「柚の家」にいるような成猫ちゃんたちも譲渡につながるよう、今後の対応を検討しているところです。

 

Q.年間で何匹くらいの猫ちゃんが譲渡につながっているのですか?

これまでの4年間で160匹ほど譲渡しています。最初の1年はそこまで多くはなかったですが、年間にすると40~50匹くらいかなと思います。

1年間でみると、やっぱり春ごろがベビーブームになるので、その時期の引き取りと譲渡が多いですね。

 

Q.譲渡先が決まった時の率直なお気持ちは?

まさに、娘を嫁に出す親の気持ちと同じですね(笑)

嬉しいし幸せになってほしいのはもちろんなんですけど、やっぱり少し寂しいかな。手をかけた子ほど、寂しい気持ちも大きいです。

だからこそ、幸せになってほしい!って強く思いますね。

 

柚の家がつないだ160匹の小さな命

インタビューを通じて終始感じたのは、運営者である伊藤さんが心の底から猫を愛していること。
県内中の保護猫活動家さんを巻き込んだ譲渡活動はもちろん、迷い猫探しの支援なども実施しながら、小さな命と向き合い続けています。
そんなまっすぐな愛情が伝わるからこそ、柚の家で暮らす保護猫ちゃんたちは人懐っこい可愛らしい子で溢れているのかもしれませんね!

※現在は受入れ数が上限に達しており、保護猫ちゃんの引き取りを一時見合わせております。里親さんへの譲渡が進み、在籍猫が30匹になり次第、受入れを再開する予定です。

 

◎消毒液の生成機械を完備 コロナ危機を乗り越えた対策とは?

Q.新型コロナウイルス感染症の影響を受け、カフェの臨時休業など、大変な影響があったかと存じます。 コロナが保護猫活動に与えた影響についてお聞かせください。

実は、カフェ店内に次亜塩素酸水(消毒液)を生成する機械を保有していまして。猫の数が多いので、ケアの必需品として数年前に導入していました。

なので、新型コロナの影響が拡大した時期に、猫たちの物資をご支援いただいた方に消毒液をプレゼントする取り組みを実施しました。

結果、全国各地から本当にたくさんの支援物資が届きまして。カフェ自体が運営できなかった時期に、非常に助かりました!

多くの人に支えられているなって実感して、本当に嬉しかったです。

 

Q.保護猫ちゃんの数が多い分、そういった支援物資はありがたいですね!

はい、本当にありがたいです!

今では50匹以上の保護猫がいるので、エサの量もトイレなどのケア用品も消費量がすごくて。

本当はカフェの利益で管理したいのですが、ケガや病気の猫たちの医療費もかかります。

なので、全国各地からのご支援には感謝しかありません。

 

◎交通事故で断脚をしたリブちゃんについて

Q.事故の影響で大けがを負った「リブ」ちゃんに関するニュースを拝読しました。

ひき逃げに遭った当時のリブは、両脚と骨盤を骨折し、皮膚にも大きな傷を負った重傷な状態でした。

その後、片足を断脚する大手術を終えましたが、事故でできた傷の影響で皮膚が無くなってしまって……。

皮膚の再生を促しながら感染を予防することを目的に、事故から4か月以上経った今も長期入院しています。

※取材の翌日(2020年9月18日に無事退院となりました!)

 

Q.1日でも早く元気になってほしいですね! 退院後は「柚の家」にお仲間入りされるご予定ですか?

実は……、リブの里親さんが決定したんです!!!

大きなケガを乗り越えて、ハンディキャップを負いながらも幸せを掴んでくれて本当に良かったです!

数日前に動物病院の先生からご連絡があって、「リブちゃんのことでお話があります」って言われて。良くないお話かと思ってとても焦りました(笑)

そうしたら、譲渡を切望されている方がいるという嬉しいお話で。その方は、リブのことを保護初期から知っていて、気になっていたそうです。

リブのことを理解したうえで、本当に真剣に考えてくださっていて、本当に良かった! リブは幸運の持ち主ですね!

 

『リブ募金』への感謝

4か月間にわたる長期入院に、片足を断脚する大手術、そしてその後の皮膚再生治療……。現実問題として、治療費は膨大な額に膨らみました。
そんな費用面に関して、全国各地の方が『リブ募金』に協力してくれたうえ、治療に当たった動物病院の先生が募金額と同額の費用のみの請求で済むように配慮してくれたそうです。
多くの人に助けられ、支えられ、愛されたリブちゃん! これからは幸せを謳歌してほしいですね!

 

◎猫カフェ柚の家の伊藤さんからメッセージ

Q.保護猫活動や猫カフェ運営について、読者に伝えたいメッセージをお聞かせください。

例えば、自分の家の小屋に野良猫が赤ちゃんを産んでいた、ですとか、自分が猫を保護することになるなど。

そんな「まさか」という経験をされる可能性は、誰にでもあります。

だからこそ、保護猫活動そのものを他人事だとは思わないで、身近にあることだ、ということを知ってほしいですね。

猫はとても繁殖力が強いので、どうしても増えてしまいます。だから、「正しい猫の飼い方」を理解して、かわいそうな猫を増やさないでほしいと強く思います。

 

それと、これは私のこだわりでもありますが、うちの猫カフェは年齢制限を設けていません。子どもの時から小さな命に触れて、動物を好きになってほしいからです。

動物を好きな子どもが増えて、命を大切にできる人になってほしいと願っています。

 

Q.ちなみに『第2回推し猫グランプリ』にはご参加いただけますか?

もちろん参加させてください!

順位っていうのは後からついてくると思うので、順位にはこだわっていません。

それよりも、一人でも多くの人に保護猫の存在を知っていただいて、猫ちゃんを家族にしたいと思った時には、ぜひ保護猫ちゃんを家族として迎えてほしいと思います。

 

伊藤さんより:最後に感謝とお礼の気持ちを込めて

お店に来て下さる方はもちろんですが、寄付や募金、支援物資をいただいた皆さんには本当に感謝しています。
秋田県にいながら全国各地の方々に見守っていただき、支えていただいてるなって、本当に感謝しても感謝しきれません!
この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。いつもありがとうございます!

 

◎まとめ

取材を通じて、猫カフェ柚の家を運営する伊藤さんの優しさと温かさ、命と向き合う覚悟、深い愛情がひしひしと伝わってきました。

秋田県内の保護猫問題を一身に背負われながら活動をされている伊藤さん。その想いが県内、全国に広がって、大きな輪が広がっていくといいですね!

保護猫活動家がヒマでヒマでしょうがないー。

そんな日が来るように、伊藤さんの提唱する「正しい猫の飼い方」「かわいそうな猫を増やさない努力」を大切にしていきましょう!

取材・文/南マイコ

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