『推し猫グランプリ2020』猫カフェ部門で見事に4位入賞された「宿木カフェ&レストラン」さん。
都内の閑静な住宅街にある、木のぬくもりと温かみを感じられるオシャレさと、本格的なイタリアン料理が人気を集めています。
今回はご夫婦2人で経営されている宿木カフェについて、保護猫活動をスタートしたきっかけや想い、思い出深い出来事などについてお話を伺いました!
◎宿木カフェ&レストランとは?基本情報・略歴
▲画像引用:「宿木カフェ」公式ホームページ
・2018年8月31日オープン(公式サイトはこちら)
・東京都台東区の住宅街にある隠れ家のような猫カフェ&レストラン
・2020年4月 公式YouTubeチャンネルを開設
・アクセス:JR山手線「日暮里駅」北改札西口から徒歩8分、地下鉄千代田線「千駄木駅」2番出口から徒歩6分
・本格的な食事&お酒も楽しめる保護猫カフェ
・オーストラリアで知り合い、遠距離恋愛を経て国際結婚をしたご夫妻2人で経営
・猫ヨガ・猫アイテム販売レンタルBOXなど、新しい取り組みにも挑戦中
◎推し猫グランプリ受賞について
Q.『推し猫グランプリ2020』4位入賞おめでとうございます! 受賞を知った時のお気持ちや周囲の方の反応はいかがでしたか?
今年の8月末で2周年を迎えた当店がこのような機会を頂けた事だけでも光栄だったのですが、こうして皆様に推して頂き、入賞する事ができて本当に嬉しかったです!
また、皆様の暖かいコメントから、「ねこ様の為に、ご利用してくださる皆様の為に、お店の為に」と思い向かい合ってきた姿勢が間違っていなかった!という自信になりました。
本当に素敵な機会を頂きありがとうございました!
Q.受賞を知った時の保護猫さんたちの反応はいかがでしたか?
結果を知った私の感激の声に「何事か!」と大変驚いておりました(笑)
■4位入賞となった当グランプリ結果発表ページには、数多くの応援コメントが溢れています。
宿木カフェが大好きで大好きで、週3くらいで通っている常連です。
猫はもちろんかわいいし、料理も美味しいし、何よりスタッフさんの猫愛がめちゃめちゃ伝わってきます!一度行ったら必ず虜になっちゃう!
宿木カフェさん、いつも可愛いネコ様と美味しい料理をありがとうございます!また行きたいお店No.1です!そちらに遊びに行った時には、またネコ様たちをモフらせてください!そのために、下僕はお金を貯めます(笑)
可愛いくて人好きな猫たち&美味しいお料理で、行く度に幸せな時間を過ごせるのは、素敵なオーナーご夫妻のお陰です。宿木さん 大好きーー!いつも応援しています。
◎宿木カフェとして保護猫活動をはじめたきっかけと想い
Q.保護猫カフェ・保護猫活動を始めたきっかけはなんですか?
きっかけは高校3年間で6匹の子猫を拾い、譲渡会に参加して新しい家族への架け橋になれた経験でした。
それから接客・飲食業を約15年経験し、結婚を機に独立する事にしました。
自分達ができる事ややりたい事、今までの経験をすべて活かした形が宿木カフェ&レストラン(以下、宿木カフェ)です。 オープンして2年が経ち、たくさんの方が支えてくださったお陰で、やっと自分達が思い描いてきた宿木カフェに近づいてきたと思います。
Q.「宿木(やどりぎ)」という店名の由来や、名前に込めた想いを教えてください。
宿木カフェの名前の由来は植物のヤドリギから付けました。 ヤドリギは別の樹木に寄生し栄養を貰いながら成長し、足りない物をお互いに補いながら共存します。
宿木カフェもねこ様と寄り添い、互いに足りない物を補い協力して成長するー。まさに「これだ!」と考えました。
以下の2つの思いも込めています。
① 長距離飛行する鳥はヤドリギを使って巣を作り、羽を休め、次の旅に備えるそうです。ねこ様も同じように、新しい家族へ旅立つ前の休憩場所として、その準備期間をお家のように過ごせますように
②【ヤドリギの木の下でキスをすると永遠に結ばれる】そんな言い伝えのように、保護猫と人を結ぶ場所、また人と人が繋がる場所になりますように
この2つの思いを忘れずに今も活動しています!
Q.「宿木カフェ&レストラン」をオープンされてから現在に至るまで、特に印象に残っている出来事がありましたら、ぜひお聞かせください。
やはり我が子同然に愛情を注ぎ、お世話をしてきたねこ様達を新しいご家族へお嫁お婿に送り出す時はどの子も印象深く、思い出に残っています!
中でも一番「衝撃・感動・動揺」その他すべての感情を合わせた印象的な出来事が、妊娠中に保護された母ねこの出産です。
▲母ねこ「シャロ」の出産シーンを収めた動画
病院の先生やボランティアさんにアドバイスを頂きながら用意した出産床を完全に無視し、開放的で外からも見えるお店の入り口で、朝日を浴びながら7匹の子猫を出産した事は今後の活動でも一生忘れないでしょう!
Q.出産という「命の誕生」は心に響きますね!
はい。ねこ様とは少し離れますが、オープンして間もない頃からねこ様の成長を一緒に見守ってくださっているお客様で、最近ご出産をされたご夫妻がいます。
ご懐妊された事を知った時は嬉しくて、感激の声を抑えるのがとても大変でした! そして先日、出産のご報告を頂いた時は自身の家族が増えたような感覚で喜び、涙しました。
これからはねこ様だけでなく、お2人の赤ちゃんの成長も一緒に見守れる事にとても幸せを感じました。
この宿木カフェがなければ叶わなかった出逢いー。
今もこれからも宿木カフェを通して繋がるたくさんの出会いがあるんだなっと、改めて気がつかせてくれた素敵な出来事でした!
「つながり」が生まれる空間
保護猫シェルターとしての側面だけでなく、誰もがゆったりと癒され、会話を楽しみ、安心できるような空間が「宿木カフェ」にはあります。
もちろん可愛い保護猫さんたちのおかげでもありますが、素敵なご夫婦2人の雰囲気が、独特のアットホームさ・安心感を生み出しているのでしょう。
人と猫をつなぎ、人と人もつなぐ場所ー。そんな魅力的な「命のつながり」について、さらにお話を伺いました!
◎保護猫の仲間入りから譲渡まで
Q.保護猫シェルターとしての役割を担っているとのことですが、実際にどのような経緯でお仲間入りされることが多いのでしょうか?
現在、宿木カフェでは主に預かりボランティアという形で保護猫活動を行っております。
その為、近隣で活動されているボランティア様などで急な保護要請が来たけれど受け入れができない場合などに当店でお預りし、ケアをしながらお客様と一緒に愛情をたっぷりと注ぎ、新しい家族との縁が結ばれるのを待っています。
今後はボランティア様にご指導いただきながら、外での保護活動を行っていきたいと考えています!
Q.カフェにお仲間入りしてから譲渡までつながった猫さんは、何匹くらいいらっしゃるのでしょうか?
- 2018年8月31日のオープンした年に3匹
- 2019年4匹
- 2020年7匹
合計14匹のねこ様が新しい家族の元へ嫁いでいきました!
公式ホームページでは現在のねこ様だけでなく嫁いだ子達の写真も見れますので気になる方は確認してみて下さい♪
◎本格派な食事を堪能できる保護猫“レストラン”の魅力
▲宿木カフェの大人気メニュー 【マッシモさんの特製パスタ】
Q.カフェの運営や保護猫さんのお世話などを担当します「人」スタッフさんは、現在何名くらいいらっしゃるのでしょうか? また、大変なこと・困っていることがあれば教えてください。
宿木カフェの「人」スタッフは私(日本人スタッフ)とマッシモさん(イタリア人スタッフ)、土日などにはアルバイトの可愛いスタッフもおります!
基本は私達夫婦2人でねこ様のお世話とカフェの運営を行っています。
大変な事・困っている事は……、お掃除用のタオルが常に枯渇しています!お家にガサガサのタオルがありましたら是非宿木カフェへ!!
Q.どの料理もスイーツも美味しそうですね! こだわりポイントやおすすめ商品がありましたら、ぜひ教えてください。
私達はカフェ&レストランを営んでいる気持ちでお食事をご用意しているので、パスタソースやデザートなど可能な限り既製品を使わずに自分達で作っています。
おすすめは【マッシモさんの特製パスタ】と【危険なティラミス】です!
▲一度食べるとやみつきになるほど美味しい【危険なティラミス】
飲み物であればたっぷりサイズのキャットチーノ(カプチーノ)もおすすめです!
▲可愛らしい猫デザインのカップにたっぷり入った【キャットチーノ】も大人気!
Q.どの料理も本格的で、ぜひ食べてみたいです! お召し上がりになったお客様の反応もぜひお聞かせください。
多くのお客様はねこ様を目的にご来店をされる方ばかりです。なので、お食事を提供し食べ終わると「美味しい!こんなにしっかりとした食事が食べれると思っていなかった!」とお声を頂くことが多いです。
2回目以降はねこ様とお食事の両方を、お仕事帰りの方はこだわりのお酒もお目当てにご来店してくださいます!
リピーター続出! “保護猫カフェらしくない”食事の魅力
宿木カフェを運営するご夫婦2人は飲食界でしっかりと修業を積まれた超実力派!
10年以上のキャリアが生み出す料理やスイーツはどれも絶品だと大好評です。
猫の可愛さと美味しい食事、仕事終わりにはイタリア産のおしゃれなお酒で乾杯ー。何通りもの楽しみ方ができるからこそ、訪れた人それぞれの心をそっとほぐしてくれますよ。
◎保護猫の譲渡活動+新企画「猫ヨガ」への取り組み
Q.譲渡先が決定した時の率直なご感想や想いを教えてください。
譲渡活動をする皆さん同じ気持ちではないかと思いますが、やはり嬉しさと寂しさがどちらもあります。
成長を見守ってきたお客様も同じ気持ちだと思うので、譲渡を決める際は本当にねこ様にとって一番幸せな家族なのかを第一に考えて決めています。
そのため、譲渡が決まった際は一緒に見守ってきたお客様に、「この子はこんなに素敵なお家にお嫁に行くのですよ! 今よりももっと幸せな時間を新しい家族と一緒に過ごせるんです!」と自慢します(笑)
Q.譲渡に関して、特に印象に残っていることはありますか?
一番印象的だったのは、宿木のオープン当初から成長を見守ってきた3兄弟の最後の1人が嫁ぐ前夜、平日にも関わらずたくさんの方が「おめでとう」を言いに見送りに来てくださったことです。
当日も最後の瞬間まで見送りに駆けつけてくださる方がいらっしゃり、終始涙が溢れる感動的な瞬間でした!
Q.猫ヨガや猫アイテム販売のレンタルBOXなど、新しい取り組みも非常に魅力的ですね! 実際のお客様の反応についてぜひお聞かせください。
営業を始める前からやりたかったイベントの1つがやっっっっっと実現したので、とても嬉しいです!
通常の営業時とは違う形でねこ様と触れ合える点も、とても魅力的なイベントでした!
レンタルBOXも実はオープン前から行いたかった事の1つなのですが、予算の関係でやっと今年実現しました(笑)
▲画像引用:「宿木カフェ」公式ホームページ
今はハンドメイドイベントも難航しているようなので、猫作家さんにも猫好きさんにも喜んで貰えたら嬉しいです。
今後はカフェ営業だけでなく、違ういろんな形で保護猫と人が繋がれる場所と機会を作っていきたいと考えています!
◎情報発信が生み出す新たな「つながり」
Q.SNSや公式サイトの猫さんたちが、非常に魅力的で愛らしい表情を撮影されていますね! 撮影で意識されていることやコツがありましたら、ぜひ教えてください。
宿木にいるねこ様は本当にリラックスしている子が多いので、家で一緒に過ごすような目線でねこ様を撮影するようにしています。
例えば、床でねこ様が寝ていたら、お家で一緒にゴロゴロしているような視線で床から0距離で撮影してみたり。
いろんな角度で、いつも楽しみながら癒されながら撮影しています!
Q.YouTubeのライブ配信など、ファンの方との距離がとても近い点も魅力的ですね! お客様や里親さん、YouTubeファンの皆さんとのつながりで大切にしていることはなんでしょうか?
私達はお店を運営しており、お客様にご利用頂いてその売上で成り立っています。店員とお客様の関係はどうやっても変えられません。
それでも営業中は世間話をしたり、共通の趣味があれば一緒に盛り上がったり、お名前で呼んだりなどアットホームな空間に感じて貰えるようにと考えています。
仕事で疲れたり少し嫌な事があっても、宿木に行けばねこ様がいて、私達がいて、心も体も癒されるー。
ねこ様だけでなく、お客様にとっても寛げるお家のような存在でありたいです。
◎宿木カフェ&レストランの皆さんからメッセージ
Q.保護猫活動や猫カフェ運営について、読者に伝えたいメッセージをお聞かせください。
最近TVでも保護猫・保護犬について取り上げられる事が多くなりました。これはとても良い事でもありますが、偏った情報や捉え方をされ、ペットショップから家族に迎え入れた方を中傷したり、血統書の子を責めるなどのやり取りがSNSでも見かけられます。
血統書の子も野良動物も保護動物も、みんな幸せになるべき命であり、天秤にかけるべき存在ではありません。血統書を販売するペットショップが一概に悪い訳でもありません。
もし動物を家族に迎え入れる事を考えているのであれば、正しい情報を知り、どこから迎え入れるのかをしっかり見定めて下さい。
正しい生態販売を行うペットショップなのか、ブリーダーさんが大切に大切に我が子のように愛情をたっぷり注いでくれたお母さんから生まれ育った子なのか。野良生活や多頭飼育崩壊など辛い境遇を経てボランティアさんの手によって幸せな第二の生を送るべくケアをされている子なのか……。
家族になれないけど支えたいと考えるのであれば正しい情報を知り、広めて下さい。もしお近くで保護動物のイベントがあれば立ち寄ってみて下さい。保護動物の施設があれば利用するだけでその支えになります。
ネット社会はいい意味でも悪い意味でも情報が溢れ、正しい情報が見えにくいです。だからこそ、ご自身の目で見て感じて確かめて正しい判断を行なって下さい。
今回の#推しねこグランプリもたくさんの方が実際に見て感じて、【推したい!】と判断された方々からお店が選ばれていると思います。
こういった事を一人一人が日常的に行えば、動物に取って良い環境だけが残り、悪徳と呼ばれる悪い環境は朽ちていくのではないでしょうか。 是非正しい知識と正しい判断で【推して】下さい!
Q.ちなみに『第2回推し猫グランプリ』にはご参加いただけますか?
第2回『推し猫グランプリ』もぜひ参加させて頂き、今度は1位に入賞できるよう、ねこ様達と一緒に日々過ごして行こうと思います。
是非一度、宿木カフェに遊びにいらしてください! ねこ様とお待ちしております!
◎まとめ
取材を通じて、宿木カフェを運営するご夫婦2人の優しさと温かさが伝わってきました。
都会の中にあって、ほっこりと心を緩められるような場所。猫たちとのつながりだけでなく、人と人とが繋がっていく場所。「ただいま」を言いたくなるような空間ー。
ストレスフルな社会の中で、ヤドリギの木でそっと羽を休める鳥のように、ふっと安心できるアットホームさが「宿木カフェ」の魅力なのかもしれませんね。
取材・文/南マイコ