『推し猫グランプリ2022』で4位入賞された『しあわせにゃん家』さん。保護猫カフェとシェルターを併設しており、平成30年7月のオープンから270匹もの譲渡が実現しています。
最大70匹の猫ちゃんを、スタッフ5人(オーナーママ・パパ含む)とボランティアでお世話するだけでも大変なのに、SNSによる保護活動の情報発信も積極的なバイタリティに圧倒されます。
保護活動に対する思い、命と向き合う大変さをたっぷりとお伺いしました!
◎『しあわせにゃん家』とは? 基本情報・経歴
▲画像引用:「しあわせにゃん家」公式ブログ
・福井市にある譲渡型保護猫カフェ、カフェの前には保護猫シェルター
・オーナー:渡辺 奈々美さん(ニックネーム:オーナーママ)
・ホームページ:http://shianyan.com/
・YouTube:譲渡型保護猫カフェしあわせにゃん家
・Instagram:shia_nyan
・猫スタッフInstagram:shianyan_staff
・Twitter:@shiawase_nyan
・Facebook:@shiawasenyanchi
・ブログ:https://ameblo.jp/shia-nyan
◎『推し猫グランプリ2022』4位入賞!
▲画像引用:「しあわせにゃん家」公式ブログ
Q.『推し猫グランプリ2022』4位入賞おめでとうございます!受賞を知った時のお気持ちや周囲の反応はいかがでしたか?
大変申し訳ないのですが、私あまりわかっていなかったんです。笑
たぶんフォロワーさんが推薦してくださって、私は一回だけSNSで告知しただけで、その後は毎日の保護活動に必死で……。あとは知らない間に周囲の方が頑張ってくださったみたいです。笑
私より周りの方がとても喜んでくださいました。感謝しかありません。
◎『しあわせにゃん家』として保護猫活動を始めたきっかけ・想い
Q.保護猫カフェ・保護猫活動を始めたきっかけ、経緯を教えてください。
▲画像引用:「しあわせにゃん家」公式ブログ
自分の家に、ペットショップから2匹目の猫ちゃんを迎えた頃のことです。当時、保護活動や殺処分の話は私の生活から離れたところの出来事でした。
その2匹目を迎えた1週間後くらいに、テレビのドキュメンタリー番組で、東北の高校の『命の花プロジェクト』をたまたま見ました。殺処分された子の骨を砕いて土に混ぜ、鉢に入れて花を育てるという、命の大切さを伝えようという企画でした。
それを見たときに衝撃を受けました。もし、私がペットショップで買わずに保護猫を迎えていれば、1匹の猫ちゃんが死ななくても済んだのかもしれない、と。
私は考えるとのめりこむタイプで、日本の殺処分数が多いこと、ペットショップの現実、いろいろ調べて学び、「自分もなにかしたい」という気持ちが大きくなりました。
そのとき私はエステティシャンとして個人サロンを運営していましたので、サロン経営が軌道に乗った資金でいつか保護活動を始めようと決め、1年くらいかけて行動を起こしました。今は1階が猫カフェ、2階がサロンになっています。昨年は別にシェルターも建設しました。
Q.活動する中で、特に大変なこと、苦しいことはどんなことですか?
実際に活動をはじめてみて、現実は頭の中で想像していたことの何十倍、何百倍も大変と痛感しています。
まず「お金のこと」。きれいごとだけで命は助けられない、資金繰りが大変ですね。
あと「死に直面すること」。日々不安との闘いです。大きな病気がわかったとき、看取りに入ると決断するときなど、大変というより、避けて通れないツライことです。
加えて「命の選択をしないといけないこと」も苦しいです。うちは最大の70匹常にいっぱいで(すでにキャパオーバー気味)、それでも毎日数件は保護依頼が来ます。
ほおっておいたら明日には死んじゃう子は保護して、成猫で元気な子は控えたりと、自分たちのできる範囲に線を引くことが、心の面でしんどいなと……感じています。
◎SNS発信によって生まれた仲間との繋がり
Q.SNS発信を精力的にされていますが、発信において意識していることや気を付けていることはありますか?
この投稿をInstagramで見る
かわいいだけの発信ではなく、殺処分のこと、病気のこと、亡くなる子のこと、など「活動としてウソをつかない」というのを大切にしています。
「こういうの(悲しい現実)見たくない」「かわいいだけを見たい」という意見もありましたが、私達が猫ちゃんの命に対して1匹1匹に必死に向き合っていることを伝えたいから、隠すことはせず、すべてをアップするようにしています。
あと、資金についても公表しています。みなさんの大切なお金で活動させていただいているので、かかった医療費などを細かく公表して、「一緒に活動している」と捉えていただけるようにと意識しています。
ただ、悲しい話だけの発信だと見る人の心が苦しくなるので、時にはかわいい猫ちゃんの話も入れるようにしています。また、猫ちゃんが自分でお話しているような「楽しい」だけをアップするInstagramも別に用意して、楽しんでいただけるよう心がけています。
Q.フォロワーさんとの繋がりの中で、思い出のエピソードなどありますか?
この投稿をInstagramで見る
本当にみなさん暖かくて。「これが足りない」と発信すると、翌日には山のように支援が届くので、本当に感謝しかないです。心が温まります。
あとは、なんでこんなふうになったのか不思議なんですけど、周りの人のコミュニケーションがすごいんです。私は会ったことないのに。笑
例えば、うちは福井県にあるのに、東京でうちのフォロワーさんが集まってたり。里親さんが東京観光に行って、東京のうちのフォロワーさんと写真撮ってたり。スマホでこういった情報を見て、いつもびっくりしています。笑
ありがたいことに、周りの方が「ママさんを助けよう」という気持ちを強く持ってくれて、本当に繋がりがすごく深くて、あたたかくて、その輪の中で安心して活動させていただけていると感じています。
Q.現在取り組まれている「優しさで命を救うプロジェクト」もファンの方との繋がりから始めようと思ったのですか?
この投稿をInstagramで見る
このプロジェクトは、なによりも「仲間を増やしたい」という気持ちから始まっています。
いろんな場面で「何もできなくてすみません」「ママさんばっかりに負担をかけて」という言葉をいただくことが多いのですが、そんなことはないんです!ツラいこともある中で、あたたかい言葉がどれだけ励みになるか。応援の気持ちだけでも保護活動なんです。
もちろんそれだけでも十分なのですが、可能であれば、「何もできなくて」ではなくて「一緒に仲間として活動している」という気持ちになれるものを作りたいと思いました。それがこのプロジェクトです。
資金面はもちろんとてもありがたいです。それ以上に「しあわせにゃん家から命への優しさの輪を拡げる」を目的として取り組んでいます。
▼プロジェクト参加者様へ送付される「サポーターピンバッジ」
この投稿をInstagramで見る
◎『しあわせにゃん家』の今後
Q.NPO法人という団体としてご活動されていますが、今後のビジョンや目標はありますか?
この投稿をInstagramで見る
資金も必要ですし、実現するかどうかわからないのですが、「エイズキャリアの子のための部屋をカフェの中に作りたい」という目標を持っています。
猫カフェを建てた当初は、エイズキャリアの子はカフェ内のケージの中にいました。スタッフが見ている中でお客様と触れ合っていただいて、そのおかげか当時のエイズキャリアの子は全員里親さんが決まっています。
ただ基本ケージの中の暮らしなので、のびのび暮らせるようにと、別に建築したシェルターに猫庭つきのエイズキャリア専用の部屋を作りました。庭で日向ぼっこしたりとエイズキャリアの猫ちゃんの暮らしは充実しましたが、シェルターにはお客様が入らないため、里親様が決まりません。
エイズキャリアでも人間大好きな子が多く、もっと人と触れ合う時間を作ってあげたいと思っています。
◎『しあわせにゃん家』からメッセージ
Q.読者・視聴者・ファンの方に向けて、メッセージをお願いいたします。
▲画像引用:「しあわせにゃん家」公式ホームページ
猫や動物がちょっとでも好き、命に興味がある、という人たちで、今ある現状を変えていかないといけないと思っています。例えば月100円の募金とか、外にいる子にお水をあげるとか、SNSの拡散とか、できることはなんでもあると思うんです。
命に対して心を持って接することだけで保護活動だと思うので、「なにもできなくて」と思わずに、自分にできることをちょっとだけ考えて、自分なりに命と接してくれる人が増えると嬉しいなと思います。
あと、たくさんの方の支えがあるからこそ今の私があるので、その愛(支え)を猫ちゃんに保護活動という形で返していきたいなと思っています。
Q.最後になりますが、第4回『推し猫グランプリ2023』も開催予定ですが、ご参加いただけますでしょうか?
はい、ぜひぜひ!今度はちゃんと理解して、参加させていただきます。笑
◎保護猫カフェしあわせにゃん家様 インタビューまとめ
明るいお声でハキハキと、包み隠さずお答えくださったオーナーママさん。命と向き合う真摯な姿勢や熱意が、溢れそうなくらいに伝わりました。
猫ちゃんの現状を知らなかったところから、「自分もなにかしたい」の気持ちをここまで実現されていることに尊敬しかありません。多くの温かいサポーターに支えられるのは、ママさんの命に対する真剣さと、「なにもできないなんて思わないで」という優しさあってこそ。
これからも仲間を増やし続け、幸せな猫ちゃんを増やし続けるママさんから目が離せません!
取材:南マイコ
文:南マイコ・大久保ユカコ